「貿易摩擦と自由貿易」特集


日本貿易会は、戦後日本の民間貿易再開に先立ち、1947年に「貿易の健全な発展を通じて日本経済の繁栄に寄与すること」を目的に設立され、以降一貫して貿易振興の旗振り役として積極的に活動してきた。近年は、FTAやEPAの拡大による貿易・投資の自由化推進を目指し、他の経済団体とも協力してTPPや日欧EPAの早期実現を訴えてきた。

TPP11や日欧EPAは発効が視野に入り、日本のFTA・EPAは着実に進展している。一方で、2018年3月に米国が、安全保障上の脅威を理由に鉄鋼とアルミに対する輸入制限を発動、これが各国の報復措置を招いたことで、一気に貿易摩擦がエスカレートした。米国は、その後同様の輸入制限を自動車・自動車部品にも行うことを表明するとともに、知的所有権の侵害を理由に対中輸入制限を発動。中国との報復措置の応酬が続いている。(図参照)

こうした状況下、貿易摩擦の現状と懸念される影響、その背景などを整理するとともに、今後どのような論点で自由貿易の維持・拡大を求める政策提言活動を進めていくべきか探るべく、特集を企画した。

今回は、状況が激しく変化し先行き不透明な中で、商社関係者による緊急座談会、世界3極(米国、欧州、中国)からの現地レポート、有識者による寄稿等、関係者の方々には多大な協力をいただいた。

本特集が、今後の世界経済と自由貿易の在り方を考える際の参考となれば幸いである。

米国を中心とした貿易摩擦の主な経過


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