2021年度 商社のサステナビリティ推進活動

2.ESG 理解促進・啓発、社会貢献活動、サステナビリティ推進体制づくり

伊藤忠商事 外国語絵本寄贈


世界各地から集まった外国語絵本
(伊藤忠商事提供)

当社は、2021年度から創業の地・滋賀県の滋賀県立図書館への外国語絵本の寄贈を開始した。滋賀県は、豊富な水源や都市部への交通利便の優位性を背景に、工業製品の生産工場が集積していることから外国籍の方が3万人以上在住しており、外国にルーツを持つ小中学生だけでも1,500人以上が生活している。

外国語絵本の需要が大きいにもかかわらず入手が困難という滋賀県立図書館からの要望に応じ、当社は、そのグローバルネットワークを活かし、世界22ヵ国・23拠点から18言語・326冊の絵本を集め、寄贈した。滋賀県立図書館では、12月に「伊藤忠商事からのクリスマスプレゼント」として、外国語絵本の特設展示スペースが設けられた。

当社は、社会貢献活動基本方針として次世代育成、地域貢献を掲げており、今後も滋賀県立図書館への外国語絵本の寄贈を行っていく予定である。

稲畑産業 サステナビリティの強化

昨今の社会状況やステークホルダーからの要請等を踏まえ、2021年度はサステナビリティの取り組みを強化した。2021年10月1日付で社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」およびサステナビリティ推進の専任組織である「サステナビリティ推進部」を設置した。続いて12月には、人間尊重の経営理念を基本とする「サステナビリティ基本方針」と九つの項目から構成される「サステナビリティ行動指針」を制定した。また、2022年3月には、企業への対応要請が高まっている人権について、「人権方針」を打ち出した。このような当社の姿勢をより明確に打ち出すため、4月には国連グローバル・コンパクトに参加した。

サステナビリティを取り巻く課題には、気候変動をはじめとする緊急性の高い課題も多く、今後もスピード感をもって取り組んでいく。

住友商事 次世代リーダーの育成を目指す「TOMODACHI 住友商事奨学金プログラム」

当社は、米国大使館および米日カウンシルが主導する日米交流事業「TOMODACHIイニシアチブ」に参画し、2014年から「TOMODACHI住友商事奨学金プログラム」を実施している。米国の大学に留学する学生の渡航費と生活費を支援する他、留学期間中に米州住友商事会社による研修など、学生がグローバルな視野を広げリーダーシップを学ぶ機会を提供している。さらに、さまざまな経験を持つ当社社員がメンターとなり、学生が目的を達成できるようサポートもしている。

2020年度はコロナ禍のため本プログラムは中止を余儀なくされていたが、2021年度は支援を再開し、2022年3月に東海岸研修を対面で実施。米州住友商事の経営陣との対話や、さまざまな分野で活躍する社会人とのディスカッション、社会・歴史・文化施設への訪問などを通して、学生たちは多くの刺激やヒントを得たようである。当社は、米日カウンシルと連携し、今後も支援を続けていく。


兵頭社長より奨学金証書を授与(2018年度)
(住友商事提供)


新型コロナウイルス感染対策を徹底した上で、東海岸研修を対面で実施(2021年度)
(住友商事提供)


双日 「Hassojitz」的な雰囲気づくりと世界の食糧問題を考えるため「おにぎりアクション」に参加

当社は、毎年10月16日の世界食料デーに合わせて開催される、NPO法人 TABLE FOR TWO(以下、TFT)主催の「おにぎりアクション」にサポーティングパートナーとして参加し、社内では、当社の食材を使用した「双日弁当」の販売や「双日フォト&ムービーコンテスト」を開催した。

「おにぎりアクション」は、おにぎりの写真をSNSに投稿すると1枚当たり100円がアフリカ等の子どもたちの給食費としてTFTを通じて寄付されるプログラムで、「双日フォト&ムービーコンテスト」では、世界中のグループ社員からユニークな写真や動画が集まり、社内の撮影会では、「双日弁当」を並べて、各組織がそれぞれのビジネスやミッションに関係した文字を描き、発想豊かなポーズで撮影に挑んだ。

当社の新たなキャッチフレーズである「Hassojitz(発想×実現)」的な雰囲気を高め、社内で食糧問題への啓発を促す良い機会となった。


社内撮影会の様子
(双日提供)


双日東アフリカ会社(ケニア・ナイロビ)からの応募作品
(双日提供)


日鉄物産 「脱炭素入門編」として、全社環境教育を実施

当社は、ESG経営に関する重要課題(マテリアリティ)の一つに「脱炭素社会・環境保全への貢献」を掲げ、2050年カーボンニュートラルを目標に、CO2排出量の削減や、事業を通じたエコソリューション提案等を通じ、持続可能な社会の実現に貢献すべく、全員参加による取り組みを進めている。その一環として、2021年度は従業員への意識浸透を図るため、全社員を対象とした環境教育を実施した。社内メンバーが作成した動画を配信し、地球温暖化の影響、脱炭素を巡る世界の動向、当社のCO2排出削減目標および私たちにできること等について、説明を行った。

視聴後のアンケートでは、「カーボンニュートラルを何となく理解しているつもりだったが、今回の動画でよく理解できた」「ビジネスを通じて、SDGs達成に貢献していきたい」といった感想や意見が多く寄せられた。


2021年度環境教育テキスト
(日鉄物産提供)


2021年度環境教育テキスト
(日鉄物産提供)


三井物産 「サス学」アカデミー~子どもたちの “未来につながる社会をつくりだす力” を育てる~


「サス学」アカデミー、オンライン授業の様子
(三井物産提供)

「サス学」は、当社の多種多様な事業活動をケーススタディとした学習プログラムで、社会で起きていることをジブンゴトと捉え、サステナブルな未来をつくるための知恵や価値観を育む探究型アクティブラーニングである。2021年度は、小中高で1校ずつ選定して、初めてオンラインに挑戦。さとえ学園小学校は5年生向けのビオトーププロジェクトに「サス学」を導入。当社社員によるプレゼン動画を視聴し、「自然エネルギー」「サーキュラーエコノミー」などの課題について考え、ビオトープ改善に向けたアイデアコンテストを実施。児童がオンラインでプレゼンしたアイデアを当社社員が講評し、活発な意見交換を行った。先生からは「子どもたちがより広い視野と責任感を持って活動に取り組むようになった」と「サス学」の効果を評価していただいた。今後も当社は「サス学」アカデミーを通し、次世代を担う子どもの「未来を創る力」を育むことに貢献していく。

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