持続可能な社会の実現と商社 第7回「商社業界の温室効果ガス削減貢献」

はじめに

日本企業は、パリ協定に先駆け、自主的な取り組みを通じて温室効果ガスの排出削減に貢献してきました。具体的には、1997年から「経団連環境自主行動計画」、2013年から「経団連低炭素社会実行計画」の枠組みに、当会も参加して、毎年フォローアップを行っています。各年度のフォローアップ結果については、月報3月号に掲載しています。

こうした既存の枠組みにおける削減貢献の計数把握は、基本的に日本国内を対象としていますが、多くの日本企業は、海外における資源・素材等の調達、流通から、提供する製品・サービスの海外での使用や廃棄・リサイクル等、バリューチェーンの上流から下流までのあらゆる段階で、温室効果ガスの排出削減に努力しています。

グローバル・バリューチェーンを通じた温室効果ガス削減貢献

例えば、高機能素材・部品等を日本で開発・製造し、世界に輸出しているような場合、日本国内で温室効果ガスの排出量が増加しても、製造したモノが世界で使用される段階での排出量を、大幅に削減することができれば、製品のライフサイクル全体、全世界ベースでは、排出量の削減につながります。

これまで、こうした「グローバル・バリューチェーン(GVC)を通じた削減貢献」は、数量的にまとめて公表されることはまれでしたが、削減貢献の取り組みをさらに広げるには、これを組織的に「見える化」することが重要です。今年(2018年)初めて、経団連の呼び掛けに応じて、関係業界が、可能な範囲で取り組み事例と削減貢献量の一括公表を行いました。

当会は再生可能エネルギーによるIPP(独立系発電事業者)ビジネスの削減貢献を公表

当会では、経団連の呼び掛け内容を地球環境委員会で検討の上、最近海外展開が加速している、再生可能エネルギーによるIPPビジネスを取り上げることとしました。IPPを選んだ理由は、素材や部品、製品を取り上げた場合、他業界との重複が予想されること。加えて、会員商社がある程度共通して取り組みを進めていて、削減貢献量も規模感が見込めると判断した結果です。

調査方法としては、質問票形式で、地球環境委員会のメンバー会社21社に送付した結果、7社から海外31 ヵ国、91の取り組み事例を回答いただきました。回答のうち、2017年4月から2018年3月までの削減貢献量が概算可能な86件を集計した結果は、CO2 で456万tという結果となりました(案件詳細は非公開)。当会の集計・報告分を含めた17団体、27の事例と削減貢献量は、11月13日に下記の経団連ウェブサイト上で公開されましたのでご覧ください。

http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/102.html (日本語版)
http://www.keidanren.or.jp/en/policy/2018/102.html( 英語版)

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