ロシア〜新たな日露経済交流の深化に向けて〜


1991年のソ連崩壊から20年を経て、ロシアは資源高を追い風に持続的な成長を遂げ、新興国の一角として台頭してきた。リーマン・ショックを契機とする金融危機、欧州での債務問題など、世界経済の構造に大きな変化が見られる中で、あらためてロシアの政治的・経済的台頭が注目されている。

ロシアでは、2012年3月の大統領選挙を皮切りに、12年9月にはウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)、14年2月にはソチ冬季オリンピックを開催するなど、2012年以降、その存在感を国際的にアピールするイベントが予定されている。12年中にはWTOへの正式加盟が見込まれる他、CIS諸国との間で「ユーラシア経済共同体」の結成を目指した、新たな連携を模索する動きも見られる。

また、これまでロシアは、原油、天然ガス、石炭などの主要供給国として、資源・エネルギー分野の開発で注目されることが多かったが、近年、資源に依存した経済構造からの脱却を図るため、イノベーション型経済を目指し「経済近代化」の改革が進められてきた。

経済成長や民間セクターの拡大に伴い、中間層の所得増や旺盛な購買意欲が見られ、ロシア国内では非資源分野(自動車、電機、食品等)での市場も拡大している。こうしたロシアの国内外情勢の変化を踏まえ、潜在性の高い成長市場として位置付ける見方が広がり、日系企業においてもロシア向け輸出の拡大や直接投資に関心の高まりが見られる。

そこで本特集では、ロシアの実情に詳しい商社・日系企業現地駐在員による座談会、ロシアに造詣の深い有識者による寄稿を通じて、今後の日露関係、ロシア政治経済の現状と展望、ロシアにおける最近のビジネスの動向、極東・シベリア地域開発計画の動向など、「資源」「エネルギー」だけでは捉えることのできない、ロシアの最新事情をご紹介したい。日系企業のグローバル展開がますます活発化する中、今後のロシアビジネスや両国間の経済交流の在り方を考える際の参考として、本特集をご活用いただければ幸いである。


ノヴォデヴィッチ修道院


モスクワ国際ビジネスセンター(モスクワ・シティ)

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