持続可能な地球環境の創出


巨大化するハリケーン、猛暑、極寒、洪水、渇水など、世界各地で頻発する異常気象と地球温暖化の因果関係を指摘する見方が年々強まっている。

温室効果ガスの排出削減を規定した初の国際的枠組みである「京都議定書」の第1約束期間(2008~2012年)の開始が目前となる状況下、「ポスト京都議定書」の枠組みづくりをめぐる議論が活発化している。

2007年に入り、2月から5月にかけて気候変動問題に関する科学知見を集約する「国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の3つの作業部会の報告書が相次いで公表された。温暖化予測、被害予測、温室効果ガスを減らす技術的な可能性と経済的な影響の予測が提示され、これにより新たな国際的な枠組みづくりに向けた論議の前提が整う。

また、4月には、国連安全保障理事会でも初めて地球温暖化が正式の公開協議の議題として取り上げられた。6月には、ドイツでハイリゲンダム・サミットが開催され気候変動が大きなテーマとなった。2008年には日本で北海道・洞爺湖サミットが開催されるが、やはり地球環境問題が重要な討議テーマだ。

一方、わが国の対応状況を見てみると、省エネ対策やクリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)事業など、CO2削減努力が本格化しているが、「京都議定書」の目標達成は予断を許さない状況にある。この国際公約をどのようにして達成するのか、従来の取り組みの見直しや今後の政策に関する議論が始まっている。

今や、地球環境問題への対応は、世界共通の最重要課題であり、人類の存亡にもつながる課題である。

そこで、持続可能な地球環境のために、日本は、日本企業は何ができるのか、何をなすべきなのか、行政ならびに行政にも深くかかわる有識者の方々から、さまざまな取り組みと知見をご披露いただき、「ポスト京都議定書」の問題とその方向性を探るとともに、今後、日本が果たすべき役割と課題、そして商社業界の取り組み事例をご紹介いただきながら、その役割等について考えたい。

21世紀環境立国戦略

国内外挙げて取り組むべき環境政策の方向を明示し、今後の世界の枠組みづくりへわが国として貢献するうえでの指針として策定され、2007年6月1日に閣議決定された。

本戦略は、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会づくりの取り組みを統合的に進めていくことにより、地球環境の危機を克服する持続的な社会をめざすことを提示している。また、「環境立国・日本」の創造・発信、今後1、2年で重点的に着手すべき8つの戦略を示している。詳細は、環境省ホームページ(http://www.env.go.jp/guide/info/21c_ens/index.html)をご参照。


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