技術・研究開発と商社


日本の研究開発費は増加を続け、約18兆円(2006年度)と、OECD30ヵ国中、米国に次ぐ2位、また、対GDP比も上昇しており、3.62%と、スウェーデン、フィンランドに次いで高い。さらに、就業者に占める研究者の割合は世界4位と、日本の研究開発への取り組みは、世界最高水準にある。

このような技術・研究開発の成果を、社会の発展、経済、産業の競争力の維持、向上に結び付けていくためには、社会、市場の変化をとらえ、それに適合するモノ、サービスを提供していかなければならない。そのためには、シーズからニーズへのプロセスにおいて、相互に連携するシステムが必要となる。

商社は、多様な商品部門と、金融、物流、リスクマネジメント、オーガナイズ等の機能を有し、内外の企業や官庁、学界等との幅広い関係を活用しながら、得意分野に資源を集中し、事業活動を展開している。その取り組みの形も、社内で独自に技術・研究開発を進める事業や、大学など研究機関のシーズを基に、技術・研究開発を促進する事業などさまざまである。本特集では、社内外の資源を結び付け、技術・研究開発に取り組む商社の多様なビジネスについて取り上げた。

初めに、科学技術創造立国日本の将来に向けて商社に求められる機能、役割を、研究成果の産業化を担う産業技術総合研究所の産業技術アーキテクトよりご寄稿いただいた。続いて、産業ガス、ファインケミカルやビューティーケア、繊維素材、情報電子化技術、ナノテクの各分野で、技術・研究開発、事業化に取り組む商社のビジネスをご紹介いただいた。また、証券アナリストに、社内で技術・研究開発に取り組む商社に向けて、今後の成長戦略を伺うとともに、商社と連携しながら、技術・研究開発の事業化を進める大学教授から、商社への今後の期待等をご寄稿いただいた。

商社がどのような機能をもって、技術・研究開発に取り組み、それらを、どのように経済、社会の発展につなげていこうとしているのかを展望する一助としていただきたい。

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