東アジア経済圏の中の日本


今、東アジアが飛躍しようとしている。それは、これまでも言われてきた通り、「世界の工場」としてインフラの整備に伴う飛躍であり、膨大な人口を背景に巨大な消費市場創出に向けての飛躍である。また、2008年の世界金融危機以降、先進国にその影響が根深く残る中、グローバル経済の推進エンジンとして新興国への注目が高まったが、その中でもアジア諸国への期待は大きい。

一方で、わが国においては、国内市場の成熟化と内需拡大という、相反する問題を解決する必要があり、その上で東アジアは欠くべからざる重要な地域である。この地域が内包する、インフラ整備など成長基盤の不足とバラつき、域内貿易、投資環境のさらなる自由化、拡大する消費市場に伴う資源確保や環境、省エネ技術の獲得などの課題をクリアしていくことが、わが国の新たなる成長戦略の実現につながっていくものと考えられる。

今回の特集では、アセアン10ヵ国、日本、中国、韓国、豪州、ニュージーランド、インドの東アジア16ヵ国について取り上げる。その中で、域内生産ネットワークとインフラ整備、中国の域内投資戦略、食料供給地としての再評価、消費財分野での新興国市場開拓などの視点で東アジアを見つめ直し、それらを通して、東アジアの中で日本はいかにあるべきかを考える。

最後に、2009年6月に日本貿易会 東アジア小委員会がまとめた提言書「東アジアの更なる発展のために」を掲載し、本特集の締めくくりとしたい。

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