海外インフラ整備の推進と商社ビジネスー 未来を創造し世界と歩む


世界経済は、リーマン・ショックによる同時不況の最悪期からようやく脱し、2010年は新興国特に中国やアジアの高成長がけん引し、日本を含めプラス成長に転ずるという明るい経済見通しが出ている。しかしながら、日本経済は、少子高齢化等に伴う人口減少などによって国内需要は頭打ちであり、回復しつつあるものの、他国に比し足取りは重い。今後の日本経済の成長には、世界の成長センターとして内需拡大が期待されるアジアを中心に新興国の活力をいかに取り込み、共に成長していくことができるかが重要な鍵となる。

一方、新興国では、持続的な成長のためには、インフラの整備がボトルネックとなっている。アジア開発銀行の試算によれば、2020年までの10年間で東南アジア周辺の電力、上下水道、鉄道などのインフラ投資額だけでも、約8兆ドル(約720兆円)が必要と見込まれる。また、新興国では、財政負担の肥大化、対外債務の増大を招かないよう公的資金ではなく、民間資金を活用したインフラ整備を志向しているといわれている。

このような状況下、日本は、新興国等のニーズを的確に把握し、官と民が適正な資金調達やリスクを分担して、効率的なインフラ整備に対応できるように、官民を挙げたオールジャパンの体制づくりを進めている。

海外のインフラ整備への取り組みは、特に新興国や資源国においては、当該国の経済成長、産業振興への支援につながることはもちろんのこと、進出日系企業の事業環境整備、あるいは資源・エネルギーの安定確保に向けた資源国との関係強化、さらには新たな日本企業の進出とインフラ整備事業に参画する日本企業の事業機会の創出にもつながり、日本の産業界の期待は大きい。

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