世界第2位の人口を有するインドは、南アジア随一の面積を誇る多民族、多言語国家であり、GDP成長率7.6％（2015年）と高い経済成長を遂げている。インド経済は農業、工業、鉱業、ITサービス産業を中心に広く発展しているが、とりわけITサービス産業における伸び率は高く、IT分野において世界をリードする重要な役割を果たしている。急激な経済成長と人口増加に伴い、インドの中間層人口も爆発的に増加しているが、今後、世界有数の巨大市場としてさらに拡大していくことが期待されている。

2015年12月、日印政府は「日印ヴィジョン2025特別戦略的グローバル・パートナーシップ」を発表し、日本の高速鉄道技術（新幹線システム）や地下鉄事業などのインフラ分野をはじめ、エネルギー、科学技術分野において相互協力を深めることが表明された。成長著しいインドと日本のさらなる関係強化を図る上で、産官学それぞれの分野において必要な取り組みは何か。また、日本は有望なインド市場とどのように向き合うべきか。本特集では、商社OBによる現地座談会、有識者と商社関係者からご寄稿およびインタビューのご協力をいただいた。インドに関する現状認識と今後の戦略立案に向けたご参考となれば幸いである。