日本の知を生かす産学官連携拡大に向けて

(株)イトーヨーカ堂 常務取締役 総務本部長稲岡 稔
日本電気(株) コーポレート・コミュニケーション部
社会貢献部長
鈴木 均
三井物産(株) 経営改革企画部 業務推進室長橋本 成司
オムロン(株) 経営総務室顧問深田 静夫
住友商事(株) 理事・広報部長(司会)中島 敬二

高齢化社会の進展や環境問題への対応、バイオ、ナノテクやITなど先端技術の育成等における各界横断的な取り組みは、産業、地域の双方の活性化をもたらします。

近年、産業界、大学など研究機関、そして政府・自治体等がそれぞれの知を生かし、連携して、新産業・新事業育成を加速させています。政府は規制緩和などの制度・環境整備、大学は、独立行政法人化(2004年4月)を控えた国立大学をはじめとする、TLO、知的財産本部の設立等による技術の移転や活用、産業界ではベンチャー企業の設立・育成等の試みが、産学官の連携によるさまざまなネットワークの中で進められています。

このような流れの中で商社は、事業化前の寄付講座等の研究・開発や資金支援、機材・材料提供、提携先の仲介等から、事業化にあたってはさらに、大学発ベンチャー等への資本参加、ファンド等による資金調達・斡旋、経営ノウハウ提供、製品の販売・マーケティングなど、さまざまな機能を発揮しながら、これを積極的に支援しています。

今月号では、このような産学官連携による積極的な取り組みについて特集しました。前半では、産学官連携により研究に取り組まれている大学関係者へ、共に取り組みを進める商社の担当部署からインタビューに伺いました。北海道(北海道大学)、関東(筑波大学)では、教授より個々の研究テーマに基づく産業界、地域との連携について、また近畿(長浜バイオ大学)では、産学官連携をうたう大学を経営者の立場から、具体的なお話を伺いました。後半では、九州における行政府(九州経済産業局)の立場から、地域における連携のネットワークについて、また全国で活動を展開する政府系研究機関(産業技術総合研究所)から、商社への期待等について寄稿いただきました。

日本の知を生かす産学官連携拡大に向けたこのような取り組みが、今後、より広範な地域、より広範な分野で推進され、日本経済全体の活性化へ広がっていくことを期待します。

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