商社の知識経営


知恵が価値を生み、企業の利益の源泉となる社会へ移行していくことが、日本の国際競争力強化のために必要とされている。堺屋太一氏は、現代社会を「人間の知恵で創造する価値(知価)が、経済成長と企業利益の主要な源泉になる知価社会がはじまった」と捉えている(日本経済新聞2005年5月25日「経済教室」)。

企業の社内における知恵の活用には、例えば、地域情勢、企業情報、製品情報等の入手や、営業やマーケティングのノウハウの共有、商品開発、技術の伝承等における事例があるが、商社ビジネスにおける知恵の活用への取り組みは難しいとされてきた。けれども、商社にとってヒトは重要な財産であり、ヒトの生みだす知恵、知識、知的資産は重要な経営資源のひとつであり、その活用は重要な経営課題である。本特集では、知識経営により経営力の強化を図ろうとする商社の取り組みを取り上げた。

まずはじめに、経済産業省知的財産政策室から、日本の経済および産業における知的資産活用の重要性および企業の知的資産の評価についてご説明いただいた後、ナレッジマネジメントに係わるコンサルティング企業から、商社ビジネスにおける特異な情報マネジメントについて具体的なご提案をいただいた。

そして、商社各社から、知識経営に取り組む商社のビジネス環境、取り組みの意義、目的、知識経営戦略推進にあたっての課題等について具体的取り組みを基にご説明いただいた。さらには、このような知識経営を推進していくにあたってサポートとなるITツールについて、ソフトウェア開発メーカーからご紹介いただいた。

本特集により、日本が「知価社会」へ移行していくにあたって、商社業界はもとより、産業界全体がどのように取り組んでいくべきか、あらためて考えていただけることを期待したい。

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