複雑化する中東情勢と日本の対応


イランの核開発問題、新政権が発足したが先の見えないイラクの復興等中東情勢は混迷を深めている。

現在、日本は原油輸入の90%を中東に依存している。確認埋蔵量を見ても、中東に約62%の原油が存在し、そしてサウジアラビア、イラン、イラク、クウェート、アラブ首長国連邦の5ヵ国に集中する。原油の大半が中東地域にあることから、日本の中東への原油依存度を大きく低下させることは難しい。

この地域のエネルギー資源を安全に安定して確保することは、日本経済の安定と発展のための生命線であり、日本の国益である。しかしながら、このエネルギー源の安定確保の面での諸外国の国益は一致するものの、さまざまな中東問題に関わる各国の国益は微妙に異なるようである。さらに、経済成長の著しい中国、インド等による石油・天然ガスエネルギー確保の動きを見ると、今後とも日本が安定して確保できるかどうかには懸念が生ずる。

一方、油価高騰による膨大な石油収入から、中東産油国では脱石油依存経済に向けて産業構造の多様化を積極的に進めており、また外資導入、合弁事業促進などの政策も導入し、基礎インフラ、石油化学ほか大型開発プロジェクトが目白押しである。

複雑な問題が絡み合う中東地域において日本は、日本企業はどのように対応すべきか、何ができるのか。イラン問題への対応や、GCC諸国との友好関係の維持、強化に向けた課題、商社の役割等を考えてみたい。

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