商社の海外地域戦略


商社の海外事業が注目されている。

一つは、資源・エネルギー関連をはじめとする海外事業の収益が拡大していることである。長期にわたって、資源等の開発に取り組んできた中で、全世界的な経済の好調により需要が伸び、また、商品価格が高騰していることが追い風となっている。

また、商品部門のタテ組織に、横串を入れる動きが顕著になっている。世界各地においてFTA・EPAへの取り組みが加速し、経済単位、ビジネスの単位がより拡大する中で、商品部門とのバランスも図りながら、地域組織の横串を強化するブロック経営が採用されている。商品部門のタテ軸と地域組織のヨコ軸とのバランスについては、これまでも、その時々の環境に応じて、タテ軸が強化されたり、ヨコ軸が強化されたりと、柔軟な戦略が取られてきた。一方で、部門横断的なビジネスが推進されている。川上、また川下分野にもリスクを負いながら取り組み、バリューチェーンを構築する動きもその一つである。

経済のグローバル化、企業活動のグローバル化が進展していると言われているが、これらもそのような事象の一つなのだろうか。商社の事業はもともと、海外との結びつきが強いが、グローバル化が進展しているといえるのであろうか。

本特集では、商社の海外地域経営について、当会正副会長会社7社の経営企画、海外市場等の担当の方々にご討議いただき、技術系商社の方のお話を伺った。また、商社担当のアナリストの目から商社の海外事業を取り巻く環境を整理いただき、そして、それらの環境を踏まえた商社の海外地域経営を業界誌の編集長に総括していただいた。

商社はグローバル経済の下でどのようにして、総合力を発揮しようとしているのか。事業、経営のグローバル化とはどのようなことなのか。商社のネットワークの意味をあらためて考えてみたい。

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