名古屋圏のさらなる飛躍を目指して ─名古屋商工会議所の活動と今後の取り組み

名古屋商工会議所 会頭
岡谷 篤一

地域に輝きをもたらす「三つの力」

名古屋商工会議所では「街の魅力と技術の先進性で世界の交流の舞台となる『世界交流都市・名古屋』の方向性を2020年までに確立する」ことを目標として、2015年2月に第3次の中期計画となる「中期計画 2015-2017」を策定いたしました。

この計画では、リニア新時代へ飛躍するグローバル都市を目指して、「モノづくり力」、「都市力」、「企業力」の『三つの力』を磨き上げることとし、「世界トップレベルのモノづくり力の拡充・強化」、「ナゴヤらしい都市力の拡充・強化」、「個性・活気溢れる多彩な企業の成長力支援」を重点テーマとして、それぞれ取り組みを進めております。

2016年度は、こうした方針を踏まえ、「さらなる飛躍を目指して地域の『力』をパワーアップ」をスローガンとし、事業計画に基づいてさまざまな取り組みを進めてまいります。

中小企業の成長を後押しする伴走型支援

わが国は今、長期デフレからの脱却という重要な局面にありますが、経済の好循環を実現し、経済成長を確実なものとしていくためには、地域経済を支える中小企業が持ち前のダイナミズムとバイタリティーを発揮し、その成長を後押ししていくことが不可欠であります。

このため、名古屋商工会議所では、中小企業の販路拡大や新分野への参入など、新たなビジネスチャンスや出会いの場を創出することが必要であると考えており、日本最大級の異業種交流展示会「メッセナゴヤ 2016」や、事前調整型の商談会「アライアンス・パートナー発掘市」など、引き続き重点事業として実施いたします。

また、多彩な起業家の創出促進を図るため、「名商創業ステーション」をはじめ、開業後の継続サポートにも努めてまいります。人手不足が加速する中、中小企業の人材確保にも対応し、新卒採用支援サイト「名商就活ナビ」の運営や「合同企業説明会」の開催、新たに中途採用支援なども行ってまいります。

さらに2017年4月に予定されている消費税の引き上げに向け、支援体制を強化し、軽減税率の導入や円滑な価格転嫁といった相談にもきめ細かに対応することとしております。

次世代産業の育成・振興

2015年11月に国産ジェット旅客機「MRJ」が初飛行に成功し、さらに燃料電池自動車の普及が期待される中、当地域の「モノづくり」も新たな局面を迎えようとしております。

本所では、こうしたプロジェクトにも関連した次世代産業の育成・振興など将来を見据えたさまざまな取り組みを積極的に行ってまいります。

航空宇宙産業分野では、中小サプライヤーの技術向上を図る「航空機部品加工コンテスト」や大手メーカー等への提案力向上を目指す「サプライヤー・ミーティング」を新たに開催するほか、新規参入やビジネス拡大の支援に取り組みます。

また、メディカルデバイス産業分野では、医療ニーズと技術シーズのマッチングを目指す「メディカルメッセ」の開催をはじめ、大学や大手メーカーとのマッチングや医療機器産業参入サポート・デスクの体制強化にも努めます。

さらに、最先端技術の活用やオープン・イノベーションの促進を図るため、モノづくりやデザイン分野での産学官連携の促進や、大企業等が保有する未利用知財を中小企業に提供する「開放特許マッチング支援事業」など、企業間連携も積極的に推進してまいります。

これらの次世代産業が自動車産業と共に地域経済の新たなけん引役として当地域を活気づけ、日本経済を力強くリードしていくものと強く期待しております。

交流人口拡大に向けて

少子高齢化や人口減少が進む中、地域の活力を維持していくためには、国内外からの交流人口を拡大させることが重要であります。

幸いにして、当地域では 2027年のリニア中央新幹線の開業を見据え、名古屋駅地区では高層ビルが次々と完成し、将来の発展に向けた重要な布石ともいえるプロジェクトが着々と進展しております。

加えて、当地域の魅力を国内外へ有効に情報発信することで、交流人口の拡大を加速し、地域の発展につなげていくことが大切だと思います。

2015年の訪日外国人旅行客が2,000万人に迫る中、当地においてもアジアからを中心にインバウンドが増えております。

そうしたことから、当地域では国内外から多くの方を受け入れる中部圏のゲートウェイとして、中部国際空港の2本目の滑走路の早期整備や広域幹線道路の整備促進、外航クルーズ船の誘致などに努める必要があります。

また、当地域は戦国時代の三英傑を輩出し、歴史的・文化的魅力もございますが、名古屋の街の魅力を高めるために、こうした強みにサブカルチャーなど若者文化の発信地という要素を融合し、新たな名古屋ブランドを形成することが、さらなる魅力づくりにつながると思います。

さらに、地域の顔となる名古屋駅の利便性向上をはじめ、栄など都心部のにぎわい創出、地域資源を活用した産業観光や街道観光、歴史観光などテーマ性を有する観光振興、Wi-Fi環境や多言語表記などのインフラ整備の一層の促進を地元官民が一体となって推進してまいります。

加えて、本所では 2020年東京オリンピックも見据え、その波及効果を取り込むため、当地域の「ものづくり」の魅力を発信する「“Heart”of Technology愛知2020「モノ+(プラス)」プロジェクト」を新たに推進いたします。

こうした取り組みにより、企業や地域に頼られる存在として商工会議所の役割を一層発揮し、会員企業や地域の発展のため全力で事業を推進したいと考えております。

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