東日本大震災 — 世界中から寄せられた温かい支援、応援メッセージ

インドネシアにおける支援活動—友情の絆

ジャカルタ・ジャパン・クラブ 前理事長
PT. Kaltim Methanol Industri 社長
山﨑 紀雄

今回の大震災に対する募金や救援物資の提供などにおいては、世界中のたくさんの国々から思いやりに満ちた支援を頂き、海外に住む日本人の1人として心からお礼を申し上げたい。ここインドネシアでも極めて多彩な支援活動が展開されているが、その背景には、世界有数の親日国という土壌の上に育まれた「友情の絆」があるように思う。日本と同じように地震国でありかつ海に囲まれた島国である当国では、スマトラ沖地震(アチェ津波、2004年)、中部ジャワ地震(2005年)、パダン沖地震(2009年)とここ数年立て続けに大型の地震や津波に襲われているが、その際に日本の官民挙げた復興支援活動がいつも真っ先に駆け付けてくれたという、自然災害を通じて深まった絆がある。

「困ったときはお互いさま」という社会システムにも両国では似かよったものがあり、例えば、若者も大勢参加して被災地に赴いているボランティア活動は、インドネシアに古くから根付いているGotong Royongという「協力の精神」に相通じるものがありそうだ。

当地最大の日系コミュニティである、ジャカルタ・ジャパン・クラブ(日本人商工会議所)にも震災直後からたくさんの支援活動への参加協力が呼び掛けられているので、その一端をご紹介する。

  • インドネシア日本友好協会、インドネシア元日本留学生協会、プルサダ大学共催の祈りの会
    参加者全員でイスラム教式の祈りをささげ被災地の方々の痛みを分かち合った。
     
  • ジョグジャカルタ王室のスルタン・ハメンクブウォノ10世も参加されたCare for Japan “One Day Charity”
    支援イベントで終日募金活動を行いながら、日本滞在中のインドネシア人ともスカイプで中継し、災害時の規律ある行動を日本に見習おうと訴えた。
     
  • アチェ・ニアス復興再建協会(NGO)主催の Solidarity for Japanイベント
    日曜の歩行者天国を利用し、日本大使館前で大掛かりな募金活動が展開され、スマトラ沖地震の際の日本の支援への恩返しを呼び掛けた。
     
  • 大手民放メトロテレビがジャズサックスプレーヤー渡辺貞夫氏を招き募金コンサート開催
    シェア・ザ・ワールドの大合唱や名曲ブンガワンソロの演奏で国中に協力を訴えた。

この他、国営Garuda航空の救援物資の無償空輸や義援金を集める各種の活動は、現在も数えきれない広がりを見せている。

災害に遭われた方々の生活再建への道のりは短期では終わらず、助け合いの気持ちも息の長いものが必要になろうが、当国の支援活動はきっと脈々と受け継がれ、それが両国間の絆を一段と強めていきそうな中に、アジアにおける草の根レベルでの心のつながりをあらためて感じている。


Care for Japan“ One Day Charity”
右が筆者

Solidarity for Japan イベント

ブダペスト市内国立科学アカデミー内ホールでのチャリティーコンサート― 日本とハンガリーの絆

丸紅株式会社 ブダペスト出張所 所長
坂梨 正典

2011年4月27日(水)、ブダペスト市内国立科学アカデミー内ホールにてチャリティーコンサートが開催されました。

これは東日本大震災に対する援助を目的とし、ハンガリー・日本友好協会、バイオリニストでリスト音楽院の教授であるヴィルモシュ・サバディ氏、元駐日ハンガリー大使であるゾルターン・シュディー氏が主体となって実施されたものです。

ハンガリー共和国現大統領パール・シュミット夫妻はじめ歴代の3人の大統領が後援者となり、当日もラースロー・ショーヨム前大統領が出席しました。このコンサートにかかわる人たちは、演奏者を含め全員がボランティアとして時間と労力を費やし、全ての募金はそのまま日本の日本ハンガリー友好協会を通じて寄付されるとのことでした。

コンサート内容はハンガリー国内トップクラスの演奏者によるもので、その音色とメロディーの素晴らしさは直接心に響きました。特に、フェレンツ・リスト作曲のハンガリアンラプソディー(狂詩曲)の幻想的かつ民族的な調べは強く心を揺さぶるものでした。

コンサートには趣旨に賛同する数多くのハンガリー人が参加、また在ハンガリー日本大使館伊藤哲雄特命全権大使をはじめ当地に在住する日本人も招待されました。コンサート終了後寄付をしようとしたところ「今日のチャリティーコンサートは、日本での悲惨な出来事に対するハンガリー人の深い悲しみを込めたものです。これまで日本とハンガリーの絆の強化のために尽くしてこられた日本人の方から寄付を頂くわけにはいきません」と言われ、深く感銘を受け思わず涙が出そうになりました。

ここハンガリーには親日家が多いとはいえ、あらためて同国の懐の深さを再認識するに至りました。個人的にはいまだ両国の橋渡しに貢献しているとは言い難く、何らかの形で今回のお返しをぜひともさせていただきたいと思っています。


チャリティーコンサート観客

(中央左より)ショーヨム前大統領、
シュディー元駐日ハンガリー大使、伊藤特命全権大使


サバディ教授およびフェレンツ・リスト室内オーケストラ


タイにおける震災支援 ― ナム・チャイ・タイ・スー・チュアイ・イープン

伊藤忠商事株式会社 インドシナ支配人
石井 敬太


数十年来のお付き合いであるタイ大手砂糖製造会社から義援金を頂く
左から3人目が筆者

アジア有数の親日国であるタイよりご報告申し上げます。タイ国では、日本への義援金の受け付けは、盤谷商工会議所、日本大使館やタイ国赤十字などさまざまな団体が行っており、多くの義援金が寄せられていました。その中で、当社のお取引先から「伊藤忠商事を通じて義援金を送りたい」とのたくさんのお申し出があり、当社独自の義援金口座を開設することになりました。約50件もの義援金を頂き、当社東京本社経由で日本赤十字にお届けすることができました。地震の被害状況の報道と共に毎日のように「ナム・チャイ・タイ・スー・チュアイ・イープン(友人 ―日本を助けよう)」とバンコク中にメッセージや募金箱が設置され、一般の方々よりも心温まる応援メッセージを頂きました。タイの方々の日本への思いに触れ、あらためてタイと日本の人々の心の絆の深さを感じるとともに、当社としても、日本が元気を取り戻すための活動を今後も続けていきたいと思っています。

隣国韓国からの温かい支援

韓国三井物産株式会社 企画業務本部 次長
伊藤 宗久

韓国では今回の日本の震災の様子は、テレビ、新聞、ネットニュース等で大きく報道されており、国民は非常に高い関心を持っています。韓国というと歴史問題もあり、抗日感情の強い国というイメージを持たれている方もいるかもしれません。しかし、震災直後より街には「頑張れ!日本」の垂れ幕が随所に掲げられ、現職大統領として初めて日本大使館を訪問し、地震犠牲者への弔意を示した李明博大統領をはじめとする政府関係者、大手財閥から中小までの民間企業、ヨン様に代表される芸能人・スポーツ選手から街角での募金の呼び掛けに応じる一般市民まで、あらゆる方々が日本への励ましの言葉を述べ、支援物資、義援金の提供は草の根レベルまで広がっています。当社内でも義援金を呼び掛けたところ、社員はもちろんのこと、運転手やビルの清掃スタッフ、備品を購入している業者など、想定以上の協力が集まり、ビジネス上の取引先からも当社経由で義援金を提供したいという複数の申し出がありました。韓国の皆さんの心の温かさにあらためて感銘するとともに、日本の隣国が韓国であって良かったと思っています。


ソウル市内に掲げられた応援横断幕

売上の一部を義援金として日本に寄付することを表明した店舗


震災復興支援チャリティーバザーの
運営ボランティアを行う当社社員

震災復興支援チャリティーバザー

地球の裏側から日本を応援している!

蝶理株式会社 サンティアゴ事務所 所長
増田 静音

2011年4月3日にチリのサンティアゴマラソンが開催されました。当地でもマラソン人気は年々高まり、2011年は2万5,000人の参加がありました。

マラソンのエントリー直後に東日本大震災が起こり、毎日の悪いニュースに、何かできないかと考え、当地の日本人が一致団結し、同じTシャツを身に着けてマラソンを走ることにしました。ところが、当地の日本人の方々にTシャツ販売の連絡をすると、思いの外多くの方からの反響があったため、この際、広くTシャツを販売し、そこで得られた利益を被災地の方への義援金として寄付しようという話になりました。日本大使館やカマラ(日智商工会議所)の皆さまにもご協力いただき、マラソン前日の「EXPOサンティアゴマラソン」というイベントで販売できることになりました。EXPOの当日は大盛況で、最終的に2,000枚が完売になりました。結果、約100万円の利益が得られ、この収益金は赤十字を通じて、日本へ寄付しました。この取り組みについては、日本の新聞でも報道されました。

なお、マラソンの結果はというと、人生初のフルマラソン、途中で足は痛くなるし、動かないし、何度もやめようと思いましたが、沿道の人や一緒に走っている人が「JAPON! JAPON! FUERZA JAPON!(日本!日本!ガンバレ日本!)」と応援してくれるので、その声援に応えるべく何とか走りきったようなものです。

地球の裏側からの熱い応援は、きっと被災地の皆さまにも届くと信じています。


42km出だしは好調

左から2人目が筆者

販売してくれたみなさん

販売は大盛況

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