日本貿易会物流委員会の活動

社団法人日本貿易会 広報グループ
有澤 卓

私は入社以来4年間にわたり当会企画グループにおいて物流委員会の活動に携わってまいりましたが、2011年6月より広報グループに異動となりました。同委員会の担当を離れるに当たり、同委員会の国内/国際物流効率化に向けた活動の一端を紹介させていただきたいと思います。

当会物流委員会では、わが国が世界経済、とりわけアジアという枠組みの中で成長していくためには、欧米先進国やアジアのIT先進国と同じ土俵で競争できる環境づくりが重要であるとの観点から、わが国の一連の国際物流関連手続きの効率化、電子化の推進ならびに制度改善を政府に働き掛けるべく、積極的な活動を展開してまいりました。

(1)保税搬入原則の見直しに関する対応 (貿易関連手続きの効率化に向けた取り組み)

2011年3月31日、「関税定率法等の一部を改正する法律案」成立により、いわゆる「輸出通関における保税搬入原則」の見直しが実現することとなり、日本における物流効率化に向けて、大きな一歩が踏み出されることとなりました。同原則の見直しにより、保税地域に搬入することなく、どこからでも輸出通関申告を行うことが可能となるため、より緊密なオペレーションの国内外一体化促進とリードタイムの短縮、物流コストの低減が期待されます。

本件は、物流委員会のかねてからの要望事項であり、2004年に経団連等へ働き掛け貿易関連9団体連名にてとりまとめた「輸出入・港湾諸手続の効率化に関する提言」においても要望項目としており、また、その後内閣府主導の下行われた「貿易手続改革プログラム」フォローアップの一連の取り組みや、同じく内閣府が行う規制・制度改革「国民の声」等においても継続的に他団体と連携しながら要望活動を行い、今般の成果に至りました。

(2)NACCS改善に向けた対応 (貿易関連手続きの電子化に向けた取り組み)

上記9団体による提言(2004年)においては、貿易関連業務の効率化、セキュリティ向上等の目的から、貿易関連手続きの電子化推進についても要望しており、現在、NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)センターでは、システムの利用者拡大、他府省システムとの統合等の取り組みが進められています。2008年には荷主がNACCSの利用者としてシステム参加することとなり、船積指図書やインボイスの登録業務が新規に追加されました。これにより、貿易関連手続きの電子化が一層進むことが期待されますが、同システムの使い勝手はいまだ改善の余地があり、当委員会ではシステムのさらなる利便性向上に向けて継続的にNACCSセンターに対する要望活動を行っています。

以上、特に印象深いものを紹介いたしましたが、日本における貿易関連手続きや諸制度においては、解決すべき課題は数多く残っており、当委員会では非常に多岐にわたる項目をフォローしております。日本の競争力強化、政府が掲げるアジア拠点化の取り組み推進等の観点からも物流効率化のための環境整備は重要であり、また、サプライチェーンの重要性がこれまで以上に認識されている今日、当委員会の活動の意義は今後さらに高まるものと思われます。

日本貿易会物流委員会の活動 誌面のダウンロードはこちら

関連記事

トップページへ