1. アフリカでの自動車販売事業の全体像（事業概要）

大小合わせて54ヵ国もの国が存在するアフリカ。豊田通商は、このうち24ヵ国の拠点でスタッフを雇用し、トヨタ車を中心に複数の日系自動車、 トラック、バス、二輪車ブランドを取り扱っています。特にトヨタ車については、域内23ヵ国で取り扱っており、そのうち7ヵ国で現地代理店に対して出資を行うとともに、雇用を行っています。アフリカ各国の自動車販売店に対し、完成車の販売はもちろん、スペア部品の販売、アフターメンテナンスまで一貫したサービスを提供しています。

2. アフリカの現地事情や事業背景

アフリカは近年、急激な内需の拡大や豊富な天然資源等を背景に、各国の経済が急速に成長し、市場としても注目され始めています。その一方で、貧富の差や局地的な紛争など、依然問題を抱えています。

3. 現地に密着した事業投資

その中で、ケニアの事例を紹介します。ケニ アにおける自動車市場は、新車市場として、ここ数年、年間1万2,000台前後で推移しています。中でもトヨタ車は約 25%のシェアを保持しており、過去10年間にわたりシェアNo.1で推移しております。
豊田通商は、現地社会に密着した事業投資を実施しています。例えば、ケニアのトヨタ代理店「Toyota Kenya Ltd（当社の100％子会社）」では、「自動車の普及に向けた取り組み」や「雇用した人材の能力を開発し、経済的な自立を図る取り組み」を、現地での自動車販売事業を通じて推進しています。

4. 事業投資先におけるオペレーション

人やモノを輸送する最も身近な手段である自動車は、新興国では極めて貴重な資産として流通すると同時に、インフラ整備や産業の発展にも深く関わっています。そこで、当社は、分割払い（割賦）やリースを導入するなど自動車の販売形態を工夫することによって、中小企業や個人事業主のお客さまなどが自動車を購入しやすくしています。もちろん、これらの金融制度が一般的ではない分、お客さまには、事前の説明を徹底するなど、十分な情報提供に努めています。 また、豊田通商は、需要が伸びている中古車市場にも目を向けています。アフリカでは新車は庶民にとってはまだまだ簡単に手の届くコモディティではなく、乗用車を中心とした日本製中古車が新車の数倍の規模で輸入されている状況です。その中で豊田通商が中古車販売に乗り出すのは、中古車の販売・アフターメンテナンスが未整備なため、消費者に不利益が生じている現状を変えることが狙いです。豊田通商は、ケニアで、人気の高い中古車について、Toyotsu Auto Mart Kenyaとして小売り・アフターメンテナンス・オークションを軸とした複合型中古車事業を立ち上げ新たな流通の仕組みの構築にも着手しています。 導入に当たっては、事前に入念なサービス・点検を実施するなど、お客さまが安心してご使用いただける中古車として品質管理を徹底していきます。豊田通商が取り組む現地での中古車の販売は、新たな顧客の獲得にもつながり、将来の新車の販売との相乗効果を生み出します。

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ディーラー外観

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ディーラー内観

5. 現地雇用の役員や社員の能力向上

豊田通商は、完成車の販売からアフターサービスまで一貫したサービスを展開するに当たり、現地の販売・サービススタッフの指導・育成を通じてサービスの質を高めるとともに、その能力向上やキャリアアップを支援しています。
「国家の発展は人材」という理念の下、職種、階層ごとにトレーニングプログラムを整備するなど、現地社員のキャリアアップや能力開発にも注力しています。例えば、サービスメカニック向けには、パソコンやビジネスライティング等の講習を実施し、多様なスキルを身に付けられるようにしています。また、主に中堅社員向けには、人事・IT・HR等、機能軸ごとに成功事例を共有し、問題解決の方法を習得するために、アフリカ各国の現地社員を一堂に集め、2－3日かけて討議する研修「Cross Regional Unit（CRU）」も実施しています。さらに、幹部層については、数年のサイクルで他国の当社グループ子会社のKeyPositionを実際に担当させ、より国際的な経営センスを身に付けられる仕組みを整えています。 これらの取り組みにより、修理用部品やアクセサリーの安定供給と質の高いアフターサービ スの提供を実現し、お客さまの満足度向上につ ながる事業を進めています。

6. 社会貢献―奨学金や街灯設置などを通じても現地社会に貢献

豊田通商は、各国の社会情勢に応じた社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。ケニアでは、国の将来を担う人材を育成するため、1990年に「トヨタケニア基金」を設立。2011年までに、累計322名の学生たちに奨学金を給付しています。同基金は「教育」を通じ、ケニア社会の健全な発展に貢献することを目標としています。
また新興国では、治安・事故対策も、共通の重要な社会的課題です。そこで、Toyota Kenya Ltdでは 2000年から、街灯の設置に協力する活動を開始。2011年現在までに、累計1,000本超の街灯を設置しています。