双日工業団地の取り組み

双日株式会社 生活産業部門
コンシューマーサービス・開発建設本部 海外開発建設部
鎌田 雅彦

当社では、長年にわたり培ってきた工業団地ビジネスの経験を活かし、現在ベトナム、 インドネシア、インドの新興国において計4つの工業団地の開発・運営を行っています。製造業の皆さまが海外へ進出する際の受け皿となり、現地法人設立の手続きから操業開始後の団地管理まで、当社が直接、きめ細かなサポートを行うことで、進出企業の皆さまが事業に専念できる環境を提供していることが最大の特徴となっています。また、多くの日系企業の皆さまに進出していただくことにより、これら新興国において雇用が創出できるなど、その国の経済・社会の発展に大きく貢献しているものと自負しています。一方、当社にとっても、進出企業に対しての原材料の供給や他営業部による事業参画、グループ会社による物流機能の提供、生産設備の運搬据え付け、渡航手配、保険手配など、波及的に事業機会を創出でき、総合商社として工業団地事業を行う大きなメリットとなっています。現在は、国内市場の縮小、新興国の著しい成長による消費市場の拡大、生産拠点の分散化によるリスクマネジメントの必要性等に加え、長引く円高が後押しする形で、日系企業が生産拠点を海外に求める潮流はさらに続くものとみています。こうした日系企業の皆さまが、海外において技術やノウハウを安心してフルに発揮できる環境を提供すべく、当社が開発する工業団地においては充実した各種サービスを提供する一方、新たなエリアにおいても工業団地の開発を推進し市場のニーズに応えてゆきたいと考えています。


ベトナム/ロテコ工業団地・ロンドウック工業団地


当社(旧日商岩井)は、1986年にベトナムに西側諸国で最初に駐在員事務所を設立し、以来ベトナム政府との長い信頼関係を基に日系企業の先駆的役割を果たしてきました。
このような長年にわたる信頼関係もあり、当社はベトナム南部ホーチミン市郊外のドンナイ省において、ロテコ工業団地とロンドウック工業団地の2つの工業団地を有しております。
1996年4月に開発着手したロテコ工業団地(約100ha)は既に完売しており、現在は当社社員が常駐し、専任のエンジニアによる24時間体制のきめ細やかなサービスを提供しております。また、日系企業の情報交換の場として日系企業代表者の集まりであるロテコ会を定期的に開催し、サービスの充実につなげるとともに、現場のニーズを吸い上げ、総合商社としてビジネスチャンスにつなげる場として活用しております。
一方、2011年に事業参画し、開発を進めているロンドウック工業団地(約270ha)は、2013年7月の操業を目標に現在造成工事中です。ロンドウック工業団地では、ロテコ工業団地での経験に基づき、同様の当社社員による運営サービスに加えて、開発段階から総合商社としての幅広いサポートを提供する予定です。KDDIと子会社の日商エレクトロニクスと提携し、工業団地として初めてクラウドコンピューティングサービスの導入、双日ロジスティクスによる工業団地内の物流倉庫・保税倉庫を活用した物流機能の提供および、工業団地内への税関の誘致、双日ツーリストによるツアーデスクの設置等々を予定しております。
入居する日系企業に、事業に専念できるための快適な環境を提供できるよう、引き続き当社グループネットワークを最大限に活用しながら開発・運営を進めていく予定です。


インドネシア/ GIIC工業団地


ジャカルタ近郊のデルタマスニュータウン開発は、1996年に事業着手しました。当初は、計画地3,000ha全てで住宅・商業を中心とした街づくりを目指していました。ブカシ県庁本庁舎、バンドン工科大学院誘致、ニュータウン内への高速道路インターチェンジ引き込み等を行い、付加価値を高めながら現地の方々をターゲットとした建売住宅や商業店舗の分譲を行ってきました。
一方で、人口2億4,000万人の将来有望な同国マーケットを狙って、自動車、家電、建機、日用品などの産業が、将来同国に新規参入、または生産拡張することを見越して、1,300haを住宅・商業から工業用地に用途変更しました。2008年よりGIIC工業団地第1期700haの開発・分譲を開始し、日系企業では、2010年12月の1件目成約からわずか15ヵ月で、自動車・建機部品メーカーを中心に33社228ha(外資17社と合わせると50社474ha)の成約を得ています。現地に進出する企業は原材料・部品の現地調達化を進めており、自動車・建機などの裾野の広い産業では、今後は2次・3次下請けへと進出の主体が移っていくものとみています。裾野へ広がれば広がるほど、海外での生産拠点立ち上げや操業の経験がなく、また人員も限られることから、現地法人の立ち上げから操業に至るまでの一連の業務サポートのニーズが高まると考えており、これらのニーズに対してもしっかり応えていきます。今後も工業団地だけでなく、住宅・商業・工業それぞれが複合的、かつ、有機的に機能し合う街づくりを進めていきます。


インド/SMIP工業団地


現在、現地大手自動車部品メーカーであるマザーソングループと共同で、タミールナド州チェンナイ市郊外において、約100haの工業団地を開発しております。インド・チェンナイ近郊は「南アジアのデトロイト」と呼ばれるほど日米欧の自動車メーカーが集積する地域であり、自動車関連企業を中心に同地域へ進出が多く見込まれる地域となっております。
本件は自動車部隊と共同で推進しており、将来は自動車部隊の取引先をはじめとする自動車関連企業を中心に誘致活動を進める予定です。

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