ベトナムの成長と共に歩む神鋼商事のアルミ合弁事業

神鋼商事株式会社執行役員
足達 雅人

神鋼商事の中期経営計画では、「グローバルビジネスの加速」を大きな経営課題の一つとして掲げ、非鉄素材・製品販売については川下加工事業のグローバル展開も重要な実行テーマとして取り組んでおります。

川下加工事業として、私たちは 2006年から中国でアルミ専業コイルセンター、2010年にはアルミ厚板の精密機械加工事業等を展開してまいりましたが、さらに、2010年ごろより新たなステップとしてアセアン域内での新規事業を模索しておりました。

この時期に日本でアルミ押出の一貫加工を手掛ける和伸工業㈱殿(大阪府堺市:吉井裕司社長)より、「アジアで溶解鋳造から一貫のアルミ押出事業を始めたい」とのご相談をいただき、早速事業のフィージビリティスタディを開始いたしました。

ベトナム事業のパートナーである和伸工業殿は国内中堅アルミ押出メーカーとして 65年の歴史を有し、アルミニウム溶解鋳造から押出加工品まで一貫して製造可能なメーカーです。

アルミ押出の生産には溶解鋳造~熱間押出工程において製造面での技術習得や安全管理が不可欠ですが、現地スタッフは皆真面目に取り組んでおり、ベトナムに進出を決めた大きな理由としても、ベトナム人の高い勤勉性が挙げられます。

2014年の稼働以降実施しているベトナム人スタッフの和伸工業殿(日本)での工場研修業務においても、技術の習得と吸収の速さは非常に速く、コミュニケーションにおいても、英語はもちろん、日本語も驚くほどのスピードで習得し、各人のスキルアップを図っております。

われわれのベトナム法人ビナワシンアルミナム社(以下、ビナワシン)は、和伸工業 70%、神鋼商事 30%の出資比率で 2013年 8月に設立、場所はホーチミン市北西約45kmのビンズン省ミーフック工業団地内にあり、敷地面積 3万2,000㎡、建屋面積(第1期)7,000㎡でホーチミン市内より車で約1時間半の距離にあります。

最近では周辺のスーパーやレストランも増え、生活環境も設立当初に比べかなり改善したと感じます。


ビナワシンアルミナム社の工場外観


ビナワシン社では第 1期投資として押出機1機および付帯熱処理設備と溶解鋳造 1ラインを設置、主要設備は全て日本製設備を導入、2014年10月より押出商業生産を開始、2015年 1月よりは溶解鋳造からの一貫生産が実施できる体制となりました。2016年は年間約 2,000tの生産体制を達成し、2017年度は年間 3,000tの生産を目指す方針です。

現在、社長以下日本人4人、現地従業員約50人ですが、2016年度はさらに現地従業員を60人まで増員を予定しています。

また、今後の設備増強については、自動車・二輪の現地市場拡大をにらみ、早期に新規押出プレスと溶解炉の増設を計画中であり、中期計画においては、年間約 5,000tの生産販売を目標としております。

ターゲットとする需要分野は既存の OA機器、産業機器用素材に加え、二輪・四輪用部品に使用される表面精度や、内部組織等仕様の厳しい素材または加工品需要を捕捉していきたいと考えております。

また、われわれ神鋼商事も事業パートナーとしてビナワシンの拡大に合わせ、需要家の生産効率化やサプライチェーンの安定に寄与するべく、ベトナムにおける商社機能のさらなる強化を図る予定です。

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