三菱商事が取り組む医療関連分野の中核事業 エム・シー・ヘルスケア ―医療機関のトータル・ソリューション・パートナー

三菱商事株式会社
リテイル・ヘルスケア本部
ヘルスケア事業ユニットマネージャー
北浦 克俊

1. 三菱商事が取り組む医療関連分野の全体像


わが国では急速な少子高齢化の進展に伴い、医療・介護費の高騰抑制が、国を挙げての喫緊の課題となっている。三菱商事(以下、当社)では、医療・介護、ならびに予防・健康分野において、医療機関の経営支援から関連サービスまでトータル・ソリューションを提供し、医療・介護の「質の向上」と「費用の高騰抑制」に貢献することをミッションとして掲げている。
当社は、1970年代に医療関連分野における取り組みを本格開始して以来、医療機器の輸出入や本邦医療機関向けソリューション事業、介護関連事業、そして米国・中国を含む海外市場における取り組みに至るまで、積極的に事業を展開してきた。


2. エム・シー・ヘルスケアの事業内容


当社は、医療機器・材料・医薬品等、「モノ」を切り口とした本邦医療機関向けソリューション事業に強みがあり、特に、「エム・シー・ ヘルスケア」(以下、MCH/資本金5.48億円/当社80%出資)を中核の子会社と位置付け、多様なサービスメニューを開発・提供している。
MCHは、2010年4月、㈱日本ホスピタルサービス(医療材料関連事業/1995年設立)、㈱アプリシア(医療機器・システム調達支援、医療機器保守メンテナンス/2001年設立)、エム・シー・メディカル㈱(医療機器輸入販売/1989年設立)という当社事業投資先3社を統合し、発足した。
これにより、各社に分散していた機能が集約され、医療機関の多様化・高度化するニーズに「面」で対応できる体制が整ったことに加え、各事業が堅実に成長し、売上高約1,600億円、従業員数約1,700名(うち正社員数約600名、2012年3月末現在)となり、医療機関向けソリューション提供会社としては国内最大級の規模となった。現在、MCHは主に⑴ 医療材料関連事業、⑵ 医療機器関連事業、⑶ 共同購入、⑷ 先端医療機器・PB品事業を展開している。


⑴ 医療材料関連事業
MCHの主力事業である医療材料関連事業では、独自に開発したJITS(Just In Time and Stockless)システムをベースに、全国33のサービス拠点(サプライセンター)を通じて、大規模病院を中心に全国200を超える医療機関向けに、医療材料の物品管理サービス等を提供している。MCHは、院外に設置されたサプライセンターから医療材料を院内の各部署まで直接配送・定数配置し、病院側の使用分のみを請求することにより、病院所有の在庫を圧縮し、徹底した有効期限チェックやリコール情報への迅速な対応等、病院側における物品管理作業の大幅な軽減に貢献している。

⑵ 医療機器関連事業
医療機器関連事業では、医療機関における毎年の機器買い替えや、新築・移転時の機器購入において、病院の立場で最適な調達計画を策定の上、一括調達を行っている。単に購入時の費用だけでなく、保守・管理費用までも勘案したライフサイクルコストの最適化に留意する必要があることから、MCHは保守管理業務にも進出している。


⑶ 共同購入
顧客病院と共に設立した共同購入組織(日本ホスピタルアライアンス)における「病院による、病院のための共同購入」の事務局として、米国の先行事例を参考にしながら、共同購入事業を推進している。専門分野ごとに病院より委員を選出してもらい、診療の視点と経済効果の視点の双方から購入品目を選定することにより、着実に成果を挙げている。

⑷ 先端医療機器・PB品事業
患者さんの身体への負担が少ない医療機器(低侵襲医療機器)は、在院日数の短縮や薬剤 費用の圧縮等、医療費の削減効果も大きいと いわれている。MCHでは、主に欧米からこうした先端医療機器を輸入し、本邦医療機関向 けに提供している。また、先端医療機器に加 え、MCHグループのリソースを活かし、医療現場のニーズを捉えた安全・安価なプライベー トブランド品の開発・販売も推進中である。


3. 今後の展望


当社は、これまで紹介してきたように、MCHを中核に据えながら、今後も医療機関に対してさまざまな機能を複合的に提供するサービスを拡充し、規模・質共に、国内最大・最良の医療機関向けトータル・ソリューション・パートナーを目指している。また、当社の多様な事業とのシナジー創出も視野に入れながら、グループ会社の総力を挙げて、医療・介護の「質の向上」と「費用の高騰抑制」に貢献していきたいと考えている。

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