丸紅が取り組むアフリカ・ビジネス

丸紅株式会社
市場業務部 欧阿中東チーム

サブサハラ・アフリカ(以下、アフリカ)は、近年著しい成長を遂げており、最後のフロンティアとして世界の国々から熱い注目を浴びている市場です。当社も、有望な成長市場として捉えており、アフリカ・ビジネスに積極的に取り組んでいます。本稿では、当社のビジネス・フォロー体制と、アフリカにおける当社のビジネスの概要をご紹介します。


1. アフリカにおけるビジネス・フォロー体制


アンゴラ ベンゲラ市内繊維工場 完成予想図

当社は、アフリカにおいて、ケニア、エチ オピア、ガーナ、ナイジェリア、アンゴラ、南アフリカの6ヵ国に7拠点を有しています。
1992年には13拠点ありましたが、政治混乱や経済低迷を受け、2007年には5拠点にまで縮小しました。しかし、その後のアフリカの経済成長を受け、2009年に南アフリカにサブサハラデスクを設立した他、2010年にはガーナにアクラ出張所を、2011年にはアンゴラにルアンダ出張所を再開するなど、活動拠点を増やしています。
これまでアフリカの各拠点は本社が管轄していましたが、2013年4月より、ドバイに拠点を置く中東・アフリカ支配人の管轄地域へと変更し、現場からより積極的にアフリカ・ビジネスを推進する体制を整えました。
また全社横断的取り組みを推進するために、役員をヘッドとしたサブサハラ市場対策委員会を設置しています。同委員会では、全社的な取り組みの議論や各国要人との情報交換、ミッションの派遣等を行っています。


2. プロジェクト


当社は、アンゴラの繊維工場のリハビリや製糖・エタノール工場の新設案件、モザンビーク・ガーナのメタノール製造案件、南アフリカの鉱山排水処理プラントの納入案件、ナイジェリアの発電所建設案件など、相手国のニーズにあったさまざまなプロジェクトを提案し、取り組んでいます。以下では、アンゴラのプロジェクトを簡単にご紹介します。

①アンゴラ工業省向け繊維工場リハビリ案件
アンゴラ国内の3ヵ所(ルアンダ、ベンゲラ、ドンド)の繊維工場のリハビリ案件です。既存工場の改修工事、繊維機械・自家発電・排水処理等のユーティリティー設備を設計・調達から土木・据え付け工事、試運転まで一括で請け負っています。受注総額は約10億ドルに上り、国際協力銀行(以下、JBIC)のバイヤーズ・クレジットの適用を受けています。ルアンダ市内の繊維工場は、2013年7月完工予定です。


アンゴラ 製糖バイオエタノール工場 完成予想図

②アンゴラ工業省向け製糖・バイオエタノール 工場請負案件(受注金額約6.5億ドル)
サトウキビを原料とする製糖設備、バイオエタノール生産設備ならびに自家発電・排水処理等のユーティリティー設備を、設計・調達から土木・据え付け工事、試運転まで一括で手掛けるフルターンキー契約です。本件もJBICよりバイヤーズ・クレジットの利用を検討しています。

アンゴラでは現在、内戦後の国家復興を目指し、大規模な再興計画が進められており、当社も引き続き積極的な取り組みを続けていきます。


3. トレード


当社は、銅・コバルト・フェロクロム・チップの日本・中国向け輸出、輸送機のガーナ・ケニア・エチオピア・ナイジェリア・モザンビーク等向け輸入、化学品(PVC等)のケニア・ナイジェリア向け輸入、セメント材料のケニアおよび周辺国向け輸入等、さまざまなトレードを行っています。
また長年にわたり、エチオピア・ケニア・タンザニア産のコーヒーの日本・アジア向け輸出も行ってきました。同国産コーヒーが持つ独特の香味を活かした付加価値の高い製品の開発や、現地取扱業者との関係構築を通じた供給体制の安定化により、引き続き商量拡大を図っていきます。
当社はアフリカを有望な成長市場として捉えており、今後も、既存トレードの商量拡大、新規商材の発掘に積極的に取り組ん でいきます。


4. 事業会社


最後に、当社がアフリカに有する3つの事業会社をご紹介します。

①Toyota Ghana Company Limited(ガーナ)
1998年1月に設立された事業会社です(当社100%)。トヨタ車の総代理店として同国内に5拠点を有し、幅広い顧客層に、トヨタ車の販売および高水準のサービスを提供しています。

②MarPless Communication Technologies(Pty)Ltd.(南アフリカ)
1993年7月に設立された事業会社です(当社51%、現地49%)。同社は、南アフリカおよび近隣諸国の主に政府関係機関向けに自動指紋照合システム、電子パスポート製造システムならびに電子登録システムの販売および保守サポートを行っています。

③Equatorial Guinea LNG Holdings Limited(赤道ギニア)
赤道ギニアのLNGプロジェクトの会社であり、当社は6.5%出資しています。同社は2007年5月よりLNGの出荷を開始しており、現在、順調に操業しています。

以上、当社のアフリカにおける活動を紹介しましたが、当社の活動がアフリカの経済成長の一助となり、また本稿が日本企業のアフリカにおけるビジネス展開の参考になれば幸いです。

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