双日が取り組む新卒外国人本社採用について

双日株式会社 人事総務部 グローバル・人材育成課 グローバル人事チーム リーダーデイビッド・ウィリアムズ
双日株式会社 人事総務部 グローバル・人材育成課 上級主任臼木 良太

人材の多様性に向けて


当社は国内外に多くの拠点を構え、海外でのビジネスの拡大に常に挑戦しておりますが、海外で新しい価値を生み出すためには本社のグローバル化が必要となっており、人材の多様性が従来以上に大切になってきています。本社では毎年、日本人の新卒新入社員を採用していますが、日本人社員と海外のナショナルスタッフを補完できるような人材を増やしていきたいと考え、海外大学を卒業する新卒外国人の本社採用を、2012 年10 月から開始いたしました。上海、香港、シンガポール、タイ等、アジアを中心にこれまで20人強の採用を行っております。

新卒外国人本社採用の大きな特徴としては、選考は英語で行い、日本語の能力は問わないということです。日本語の能力で人材を限定せず、日本や自分の出身国だけではなく、世界中どの国でも活躍できるようなポテンシャルの高い優秀な外国人学生を採用したいと思っています。最初は日本本社での勤務となりますが、将来的にはいろいろな国に駐在して、ナショナルスタッフと本社との橋渡しになってほしいと期待しています。

もちろん日本の会社ですので、日本語は必須になることから、入社後最初の6ヵ月間は集中的に日本語教育を受けてもらいます。日本語経験がゼロの外国人もおり、相当苦労しているようですが、集中教育の結果、日本語である程度のコミュニケーションが取れるようになります。入社する時点で日本語が多少話せる外国人もいますが、その場合でもすぐに正式配属するのではなく、複数の部署でOJTを積み、日本企業のビジネス文化やマナーをまずは経験してもらいます。日本の企業で外国人が成功するためには、日本語能力はもちろんのこと、日本特有のビジネスマナーやカルチャーをきちんと理解してもらう必要があると考えるからです。決して外国人社員を「日本人化」するものではありませんが、外国人であることの強みを活かして活躍するためには、必要な基本の部分だと考えています。



そして4月には日本人の新入社員と一緒に新入社員研修を受けた後、各部署に配属されます。また、最初は社員寮に住み、他の社員と一緒に共同生活を送りますので、そこでも日本語のコミュニケーション能力が磨かれます。中には、お風呂や通勤など日本独自の風習にカルチャーショックを受ける人もいるようですが、そのようなギャップにも慣れていけるような人を採用しています。

2012年以前から外国人社員採用は行っておりますが、こちらの採用はビジネスレベルの日本語が必須条件となっていました。日本語が堪能な外国人に関しては、もちろん引き続き、一般の日本人と同様の新卒採用枠での応募が可能です。日本語がたとえできなくても、代わりに英語で試験を受けていただき、良い人材であれば採用したいと考え、新卒外国人本社採用を開始しましたが、採用基準や求める人材は、日本人でも外国人でも基本同じです。双日らしい人材かどうか、そして適応力が何よりも大切です。日本が大好きというよりも、世界中どこでも活躍できるような人材を期待しています。

最近では、国内の大学からも問い合わせを多く頂いており、留学生の就職先候補として高い関心が寄せられているようです。日本政府が留学生受け入れを推進していることもあり、今では日本への留学生も非常に増えています。ただ、日本の採用活動は日本独特な文化でもあり、留学生にとって就職活動は難しいことも多いようです。例えば、日本の大学に留学し、4年間英語で勉強した場合には、日本語を勉強する機会も少ないため、かえって、日本で就職先を探すのは大変とも聞きます。当社の場合は英語で採用試験が受けられますので、日本語が話せない来日留学生でも受験が可能です。これまでは、海外大学からの採用がメーンでしたが、2015年からは来日留学生の採用についても強化し、ぜひ多くの学生に受験していただきたいと思っています。

今後の展開について

当初は、外国人採用はハードルが高いと思われていましたが、実際には、総じて非常に優秀で能力が高いと評価を受けており、今後も継続的に採用を行っていく予定です。また、他の同期の日本人社員に対しても、外国人社員の存在はとても良い刺激になっているようです。4月から一緒に新人研修を受けますので、入社後すぐにグローバルな環境を意識することになりますし、語学面においてもいい影響があると思っています。

今後は機会があれば採用エリアを拡大し、例えば南米やロシア、アフリカなども少しずつ考えていければと思っています。これからも、日本人、外国人にこだわらず、双日らしさあふれる社員と共に、さらなるグローバル企業を目指していきます。

(聞き手:広報・調査グループ 蟹田綾乃)

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