丸紅が取り組むダイバーシティ・マネジメント

丸紅株式会社 人事部 ダイバーシティ・マネジメント課
佐多 美都

丸紅のダイバーシティ・マネジメント

丸紅では「多様な個が活躍する強い丸紅グループ」を目指す姿とし、ダイバーシティ・マネジメントを推進しています。2009年度より人事部内に専任チームを設置。性別、国籍、年齢、職歴、障がいの有無にかかわらず社員が活躍できる職場環境づくりはもちろん、誰もが生き生きと活躍できるよう、「多様な個の強みを活かす企業文化・価値観の確立」に向けた取り組みを実施しています。

企業を取り巻く環境の変化に適切に対応し、今後も持続的な成長を継続するためには、「属性面の多様化への対応」から一歩踏み出し、個々人の「違い」をより積極的に捉え、多様な社員が多様性を活かしながら切磋琢磨することで、競争力を高めることを目指す経営(ダイバーシティ・マネジメント)を強化することが必要であると考えています。

女性総合職の活躍推進

丸紅では、2006年以降、女性総合職の採用を強化し、2015年4月1日時点で300人(全総合職に占める比率8.8%)が国内外で活躍しています。女性総合職の約6割が20代であり、将来の管理職候補として、さらなる活躍が期待されています。

当社では、属性にかかわらず「個の活躍」を支援するとの観点から、従来、性別を意識した取り組みはあえて行ってきませんでした。しかし、採用強化元年となる2006年入社の総合職の大半が育成期間を終え、管理職層に昇格する2014年度を一つの節目と捉え、いま一度、アンケートやインタビュー、人事データの分析等のレビューを実施した結果、女性総合職がまだマイノリティであること(絶対数も少なく、先輩社員も少ないこと)に起因したさまざまな課題があることが分かってきました。

そこで、活躍の過渡期における一時的な取り組みとして、女性総合職の意識的な育成にフォーカスを当て、新たな取り組みをスタートすることとしました。



紅novation Program(ベニノベーション プログラム)

2014年度より、若手女性総合職とその直属上長を対象とした研修プログラム「紅novation Program」を実施しています。「紅novation」とは「丸紅」と「innovation」を掛け合わせた造語で、ダイバーシティ・マネジメント強化の大きな一歩として、女性総合職の活躍が丸紅のイノベーションの源泉になってほしい、という思いで命名しました。

対象および各セッションの概要は下記の通りです。

管理職前後層向け「プレマネセッション」
課題の特定から打ち手の立案までの提言プロジェクトの実践やスキル型研修を通じ、管理職候補としての目線を意識し、中長期的な活躍イメージを描いていく。

入社4年目前後向け 「Mi d- J※セッション」
 ※Jグレード(育成期間)
今後のライフイベントも見据え、残りの育成期間で何を意識し、経験すべきかを考える。

上長向け「ボスセッション」
多様な部下のマネジメントおよびキャリア形成支援のポイントを理解する。


管理職に求められる要件やそれまでに必要となる経験に男女差はなく、登用においては今まで同様今後も実力で勝負していきます。一方で、今が女性活躍推進の過渡期であることを上長および本人が理解し、上長・本人・周囲が意識的な育成を図っていくことが重要であると考えています。

プログラム2年目となる2015年度は、7月に全対象者100人弱を集めたキックオフを開催。なぜダイバーシティ・マネジメント、女性活躍推進が必要か、本人・上長・会社が何を意識すべきか等について共有しました。

20代での海外経験必須化と最前線の現場経験促進等、他の人材強化策と併せ、女性総合職の着実な育成・登用につなげていきます。


活躍を支えるインフラとしてのワーク・ライフバランスの位置付け


丸紅は、「会社・社員双方がキャリアの段階やライフステージに応じて働く環境を整え、社員一人ひとりの中長期的な「会社への貢献」を極大化する」ことを目指し、ワーク・ライフバランスを推進しています。ワーク・ライフバランスは、多様なバックグラウンドを持つ社員が最大限の成果を発揮するために必要なインフラであり、法定を上回る制度を整備するだけでなく、制度の趣旨について理解浸透を図ることでキャリア形成とライフイベントの両立を支援しています。

なでしこ銘柄


これら取り組みが市場から評価され、「なでしこ銘柄2015」に選定されました。

当社の女性活躍推進はようやく緒に就いたところであり、なでしこ銘柄選定を励みに、より実効性のある取り組みを目指していきます。

また、残業の削減や効率的な業務推進に資する「働き方改革」にも力を入れ、多様な個を生かす組織風土の醸成を目指します。

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