三菱商事が取り組むオランダ・ルフタダウネン洋上風力発電事業について

Diamond Wind Europe B.V. Director, CEO
伊原 弘雅

三菱商事は、1980年代から米国・アジアなどで発電事業投資に取り組み、順調に事業を拡大してきました。当社の発電事業ポートフォリオをさらに充実させる手段の一つとして、成熟した電力市場を擁する欧州への本格的進出を検討するにあたり、最も注目したのは再生可能エネルギー発電分野でした。

EUは、脱炭素化はもとより、エネルギーの安全保障に対する共通の問題意識に基づき、老朽火力発電の廃止政策を掲げるとともに、電力需要を賄うために太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギー由来の電源の拡充を図り発電ポートフォリオを組み替える明確な政策を掲げています。EU加盟各国もEU政策に基づき独自の政策補助を設けるなどして、積極的に再生可能エネルギー発電を推し進める中、当社は、大規模投資となる洋上風力発電に注目、まずはオランダ洋上風力発電事業への参画を実現しました。

当社の欧州における発電事業投資は、洋上風力発電事業を軸に、太陽光、太陽熱、陸上風力の各案件へも実行しており、地理的多様性にも適応しながら、ポートフォリオを拡充しています。以下に、当社が取り組む洋上風力発電事業の概要を説明します。

1. 戦略的提携


ルフタダウネン全景

当社は、2013年にオランダ公営の総合エネルギー事業会社であるEneco社と欧州の洋上風力発電事業分野で戦略的提携を行い、同社よりオランダLuchterduinen(ルフタダウネン)洋上風力発電案件の出資持分50%を取得しました。

Eneco社は洋上風力発電事業の豊富な実績を有し、企業目標として「すべてのみなさまに持続可能なエネルギーを!」を掲げており、当社とは高い環境意識を共有しています。

当社は、Eneco社との戦略的提携を通じ、ルフタダウネン以外の洋上風力案件における共同出資機会を模索しており、さらに、洋上風力にとどまらず、共同事業分野を広げることにより、環境・資源のサステイナビリティに重点を置いた事業運営・エネルギー供給を目指しています。


完成予想図



2. ルフタダウネン風力発電案件


ルフタダウネンのサイトは、オランダ・ノルドバイク市の沖合23kmに位置し、東京ディズニーランドの5倍の敷地面積(約25km2)に43本の風車を2015年夏から稼働させる予定で、現在順調に建設が進んでいます。

2014年後半より、陸上までの送電線敷設と並行して、水深20-30mのサイトに基礎構造物の据え付けを行い、2015年春より風車の据え付けを開始、6月9日に全風車の据え付けを完了しました。

完工すると、出力は約13万kWであり、オランダの15万世帯の電力を賄うことになります。

3. 地域貢献

ルフタダウネン案件の事業運営会社は、ノルドバイク市他の周辺の4つの自治体におけるグリーン投資を実現するため、基金を設置しています。4つの自治体の市民、あるいは企業から提案あるグリーン投資案件(例:公共施設へのルーフトップソーラーパネルの設置、地域消防団向け電気訓練ボートの購入など)に対し必要資金を供与するもので、地域の環境意識を高める取り組みも積極的に行っています。

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