コラム 会員商社のASEANにおける ビジネスの紹介

商社はASEAN地域でさまざまなビジネスを展開しています。当会の会員企業の取り組みをご紹介します。

伊藤忠商事株式会社

シンガポールにおける舶用アンモニア燃料供給拠点開発


アンモニア燃料大型ばら積み船イメージ図

当社は将来のゼロエミッション燃料としてアンモニアに着目し、造船・海運(保有・運航)・燃料供給・燃料生産の4分野で構成されるアンモニア燃料船開発統合型プロジェクトを推進している。とりわけ燃料供給に関しては、世界最大の舶用燃料供給量を誇るシンガポールにおいて、舶用アンモニア燃料供給拠点開発を意図したコンソーシアムを組成した他、シンガポール海事港湾庁と覚書を締結、2026年の運用開始を目指している。

アンモニアの舶用燃料供給において課題となる安全性の確保については、当社が別途運営する三つの協議会において業界横断で知見共有・協議・検討を進めている。

その他ASEAN諸国においても燃料アンモニアのバリューチェーン開発を推進しており、当社はこれらの取り組みを通じて持続可能なエネルギーシステムの構築を加速化することで、中期経営計画「Brand-new Deal 2023」の基本方針である『「SDGs」への貢献・取組強化』を着実に実行し、低炭素化社会の実現を目指していく。

温室効果ガス・ゼロ・エミッション船に向けた共同開発
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2020/200430.html

シンガポールにおける舶用アンモニア燃料サプライチェーン構築に向けた共同開発を加速
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2021/210517_2.html

舶用アンモニア燃料に関する協議会が34企業・団体に拡大
https://www.itochu.co.jp/ja/news/news/2021/210729.html

アンモニア燃料船開発と社会実装の一体型プロジェクトのグリーンイノベーション基金事業採択について
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2021/211026.html

舶用アンモニア燃料に関する港湾協議会の発足及びシンガポール海事港湾庁との覚書締結について
https://www.itochu.co.jp/ja/news/news/2022/220406.html

アンモニア燃料船の基本設計承認を取得
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2022/221128_2.html

コンテナ船における燃料アンモニア補給時の安全性評価に関する覚書締結について
https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2023/230922_2.html


兼松株式会社


インドネシアにおける新首都移転に向けた物流事業


バリクパパンの新倉庫の概要

当社は、インドネシアにてPT.DUNIA EXPRESSTRANSINDO(以下、DUNEX)を1990年に設立。約51万㎡の倉庫と1,000台以上の自社トラックを備え、輸出入通関、コンテナデポおよびフォワーディングを軸とした総合物流業を展開してきた。現在はインドネシア政府が2024年を目標に進めている東カリマンタン州ヌサンタラへの首都移転を念頭に、ヌサンタラに隣接する港湾都市のバリクパパンで新倉庫建設を進めている。インドネシアは1万7,000以上の島しょを抱える世界最大の群島国家であり、DUNEXは首都ジャカルタがあるジャワ島のみならず、スマトラ島、カリマンタン島、スラウェシ島、パプア島、バリ島などの他島向けの物流網を構築し、インドネシア全土の物流を担ってきた。バリクパパンでの新倉庫建設により、新首都ヌサンタラを拠点とした将来的な島しょ間の輸送ニーズに応えることで、首都移転を契機としたインドネシアのさらなる経済発展に寄与したい。

DUNEX Logistics Solution
https://www.dunextr.com/


CBC 株式会社


ASEAN圏で生活産業分野へ注力


当社は生活産業分野に注力し、包装資材販売強化を図っている。

コンバーター向け食品・日用品包材の原料であるフィルム、アルミ箔、樹脂の販売を皮切りに、ブランドオーナーの要望がより具体的になってきたことから、モノマテリアル素材、リサイクル素材、Bioプラスチックフィルム、紙素材などの新規要望にも対応を行っている。

フードロス低減のテーマからバリアフィルムやスキンパックといった機能包材の需要拡大を見据えた提案を進めている他、コンシュマー製品向け資材の販売も伸長していることから、包装資材提案にとどまらず、食品添加物、機能性素材・製剤、調味料・スパイス、FD・AD製品等、中身に使用される副原料へ展開を広げ、お客さまのニーズに多方面で対応するスキームを構築中である。ペットフード・飼料業界にも注力しており、包材からバイプロ素材や鶏肉・魚原料などさらなるビジネス領域の拡大を目指している。


JFE 商事株式会社


ASEANにおける鋼材加工事業


設立10 周年を迎えたベトナムの加工センター

当社のASEAN進出は1975年にシンガポールにおいて、当社グループとして初となる海外鋼材加工センター(以下、加工センター)の設立から始まり、その後もASEAN地区の経済活動の伸長に沿って、当社もタイ(2拠点)、ベトナム(2拠点)、インドネシア(1拠点)、フィリピン(1拠点)、マレーシア(1拠点)へと加工センター事業を拡大してきた。

現在は多くの加工センターにおいて、当社がエコプロダクツと位置付ける電磁鋼板の加工を行っている。電磁鋼板は電動モーターや変圧器などに使用される高機能な鋼材であり、自動車の電動化、エネルギー利用の効率化および再生可能エネルギーの導入拡大によって需要は急速に拡大している。引き続き、ASEANにおける電磁鋼板の加工流通体制の強化を進め、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを推進していく。

当社ウェブサイト
https://www.jfe-shoji.co.jp/network/oversea-group/


住友商事株式会社


ASEAN地域におけるビジネス展開


ベトナム:FujiMart


インドネシア:ムアララボ地熱発電所


当社はASEAN地域において、金属、輸送機・建機、インフラ、化学品など多岐にわたる分野でビジネスを展開し、日ASEAN友好協力50周年を迎える2023年まで、共に成長・発展を続けてきた。近年は、現地消費者向け事業や、再生可能エネルギーの安定供給にも取り組んでいる。

ベトナムでは、同国大手企業グループBRGと共同で、食品スーパーマーケット「FujiMart」を展開中。急速な経済成長に伴い、伝統小売から近代小売へと消費の軸が変化しつつある中、生活者の暮らしを豊かにすることを目的とし、2018年に1号店をオープン、現在事業拡大を進めている。

インドネシア西スマトラ州では、同国民間発電事業デベロッパーPT.Supreme Energy、およびINPEXと共同でムアララボ地熱発電事業に参画。2019年に商業運転を開始、国営電力会社PT.PLNへの30年間の長期売電を通じ、同国の安定的な電力供給を担っている。

今後も現地パートナーとの協業も通じて、ASEAN地域の社会、人々の暮らしがより豊かになるよう寄与していく。

ベトナムにおける食品小売事業のさらなる拡大について
~BRGグループと連携を強化し、フジマートを2028年までに約50店舗展開へ~
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2022/group/15630

インドネシアにおけるムアララボ地熱発電所の商業運転開始について
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2019/group/12770

インドネシアにおけるムアララボ地熱発電事業の持分買い増しについて
~地熱発電事業のさらなる拡大へ~
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2022/group/15600


双日株式会社


ASEANにおける双日の取り組み ~食を中心にして~


牛の肥育施設・食肉加工施設の完成予想図


同施設の起工セレモニー(2023年3月)
一番右:当社藤本昌義代表取締役社長


双日では、ASEAN地域の発展段階に応じ、食に関するさまざまな事業を幅広く展開している。

「川上」においては、農産物の生産に寄与する高度化成肥料の製造販売事業をタイ、フィリピン、ベトナムで展開、各市場でトップクラスのシェアを誇る。

また、「川下」では、ベトナムにおいて「惣菜加工品製造」「4温度帯物流」「食品・消費財卸売」「小売」の4事業を一貫して展開しバリューチェーンを構築、消費者に食をお届けしている。

直近の取り組みとしては、ベトナム乳業メーカー最大手ビナミルクグループと牛肉製品の販売会社を設立した。三大栄養素の一つであるタンパク質の安定的な供給体制を、ベトナムやASEAN地域において構築していくことで、同国・同地域の持続的な発展に貢献していく。

ASEAN地域は、双日のビジネスの重要な拠点であり、かつ重要な市場となっている。消費者のニーズに応え、地域の発展を支えながら、ASEANと共に歩んでいきたい。

双日、ビナミルクグループとベトナムで同国最大級の牛の肥育農場・食肉加工工場の起工式を実施
~日本の管理手法を導入して良質な冷蔵肉を提供~
https://www.sojitz.com/jp/news/2023/03/20230308.php


蝶理株式会社


ベトナムの縫製工場を蝶理グループで活用


ベトナムの縫製工場SGS

当社では、ASEANは衣料品のOEM事業にとって重要な地域と位置付けている。2022年に「ASEAN展」を開催してアピールを行ったところ、地政学リスクを踏まえた持続的なサプライチェーンの構築を志向する得意先から大きな反響を得た。

2021年に当社グループの一員となった株式会社STXは、ベトナムの縫製工場SGS(サミット・ガーメント・サイゴン)を運営している。SGSはレディース・メンズの中高級布帛製品及びスポーツウェアにも対応した高い技術力を持ち、生産管理・品質に対する評価が高く、当社グループとして顧客への提案の重要な訴求材料となっている。グループで連携し、新規顧客にベトナムの提案を行い、受注は拡大傾向にある。一方、ベトナムではインフレへの対応が課題。人員の安定確保とコスト削減のため、自社工場の一つをホーチミンから地方のロンアン省に移転する等対策を講じている。


豊田通商株式会社


ASEANの重要な生産・販売拠点での国際競争力のある港湾運営


パティンバン新国際港 自動車ターミナル

当社は、日本のものづくりを支えるために、世界各地でサプライチェーンをつなぐ事業を推進している。
インドネシアは経済発展に伴い、2000年代半ばより貨物量が急増するとともに、首都圏では慢性的な交通渋滞が発生し、日系企業の工場が集積する地域から港へのアクセスが滞るなど、物流停滞が長年の課題となっていた。

これらの課題の解決に向け、インドネシア政府は、日本政府からの円借款を活用し、2017年よりパティンバン新国際港の建設を進めてきた。当社は、2021年12月から、インドネシアの国営企業より事業を引き継ぎ、同港の自動車ターミナル運営に参画した。現在、年間約40万台の自動車の取り扱い能力を有する同ターミナルは、2025年7月に取り扱い能力約60万台まで増加する予定で、当社はパートナー企業と協力しながら、国際競争力のある港湾運営を通じ、インドネシア経済のさらなる発展に寄与する。

2021年12月23日:インドネシア・パティンバン新国際港の自動車ターミナル運営事業に参画
https://www.toyota-tsusho.com/press/detail/211223_005824.html

2023年08月21日:インドネシア・パティンバン国際港 自動車ターミナル運営会社の株式譲渡について
https://www.toyota-tsusho.com/press/detail/230821_006292.html


長瀬産業株式会社


地域特性に即した運営体制強化 ─フード事業の展開─


シンガポールのフードラボ

ASEAN、インド地区では、タイやインドネシアを中心に自動車関連事業、中国からの生産移管で成長が期待されるベトナム、およびインドで樹脂販売事業の拡大を推進し、電子事業やライフ&ヘルスケア事業についても、域内横断で事業展開している。いずれの事業でも、現地チームの育成により地域の特性に即した運営体制強化に取り組んでいる。

この1~2年でのトピックスとしてはフード事業が挙げられる。シンガポールで立ち上げたフードラボを活用し、域内で急成長しているコンビニなどのフードサービス産業に向けてさまざまな食品素材とそのレシピ提案・開発を通じ、食の安全、フードロスの低減に貢献していく。また、次世代タンパク質の品質改良レシピの開発にも取り組んでおり、今後はシンガポールのラボからウェビナーなどで積極的に各国へソリューション提供の発信をしていく。


阪和興業株式会社


産業の構造変化や脱炭素を先取りした資源投資ビジネス ~インドネシアを中心に~


PT. QMB New Energy Materials

当社は、インドネシア・スラウェシ島において、世界最大のステンレス生産企業である青山実業主導によるステンレス鋼向けニッケル原料製造プロジェクトにおよそ10年前に出資している。それが順調に立ち上がったころと時を同じくして米国発の自動車電動化の波が到来することを予測し、同地域でリチウムイオン電池向け原料となるニッケルとコバルトの化合物の製造プロジェクト(PT. QMB New EnergyMaterials)にも続けて参画した。コロナによる進しん捗ちょく遅れをはねのけ、2022年後半には無事稼働を開始した。大規模な天災も続き、温暖化による気候変動を世界が実感している中で、それを少しでも和らげる「脱炭素」は待ったなしの状況である。そのような環境下、自動車業界における「100年に1度の大変革」つまり「電動化の波」が東南アジアにも押し寄せている。当社は資源豊富なインドネシアでの原料事業を中心軸に、産業の変革と脱炭素に直接・間接的に貢献していく。


丸紅株式会社


ASEAN地域における工業団地事業


インドネシア・MM2100工業団地

当社は、日本の製造業の海外進出が加速した1980年代後半に、日系企業の先頭を切りタイ・バンコク近郊に工業団地を開発。その後、1990年に設立したインドネシアのMM2100工業団地をはじめとして、フィリピン、中国、ミャンマー、インド、ベトナムにおいて工業団地関連事業を展開し、現在6ヵ国8案件を取り扱う。質の高い次世代工業団地への進化を目指し、デジタル技術の活用による運営・管理の効率化や入居企業およびその従業員向けサービスの提供、再生可能エネルギーおよび関連サービスの導入を含むグリーン化等、新たな付加価値サービスの開発・検討も行っている。30年以上にわたる開発・運営経験により蓄積された知見・ノウハウと次世代サービスを提供することで、今後も製造業の海外進出を支援するとともに、各国の経済発展と地域社会に貢献していく。

Marubeni アジアの工業団地
https://marubeni-industrialpark.com/


三井物産株式会社


より豊かな社会の実現を目指し、ヘルスケア課題の解決に挑む


在シンガポールのMount Elizabeth Novena病院
(IHH Healthcare提供)

アジア各国では、人口および所得の増加、それに伴う生活習慣病等の増加が進む一方、医療提供体制は先進国と比較し不足している。このような環境の下、ウェルネス事業本部では、2011年にアジア最大の病院グループであるIHH Healthcareに出資参画し、同社の成長を支えてきた。また米国最大手の透析事業者DaVitaのアジア事業会社で人工透析クリニックを展開するDaVita Care、ASEAN広域にて多様な医薬品および医療機器を供給するWellesta社、医療提供者と医療コスト負担者の間で医療費請求の内容の確認や支払代行を行うThird Party Administrator(TPA)であるMiCare等に出資参画し、各社の成長を支援している。今後も事業を通じ、アジアにおける、ヘルスケアの需給ギャップ解消とValue Based Healthcareが提供されるより豊かな社会の実現に貢献していく。

当社ウェブサイト
https://www.mitsui.com/jp/ja/company/business/units/wl/index.html

当社が運営するウェルネス関連メディア「陽だまり」
https://www.mitsui.com/wellness/


三菱商事株式会社


インドネシア BSD都市開発事業


BSD City内のスマートシティの様子

ジャカルタ郊外のBSD City内、100ha超の新規開発用地に、住宅・商業施設・学校・病院・公園・交通結節点等の都市機能を組み合わせたスマートシティ開発を推進している。これは、同国初となる公共交通指向型開発*(Transit OrientedDevelopment)をコンセプトとするものである。また、AI /IoTデータプラットフォームや都市ポータル、モビリティ、エネルギー関連コンテンツなど、BSD City全体(約6,000ha)を対象とした都市サービス導入に関する検討も進めている。既に実証実験として、自動運転モビリティサービスを導入する他、2023年2月には家具・家電のシェアリングサービスも開始しており、今後も住民ニーズや事業展開可能性を探りながら、BSD City全体のスマートシティ化を目指している。

*公共交通機関に基盤を置き、自動車に依存しない社会を目指した都市開発。

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