第2回 オフィス紹介 丸紅「人と人をつなぎ関係を育む場所」

2021年5月24日に大手町の新社屋に移転した丸紅のオフィスを取材しました。

新社屋が目指すもの


新社屋外観

新社屋は、大規模災害時も事業継続できるBCP機能を備え、多様な働き方に対応する執務環境、地域に貢献する文化交流施設を兼ね備えた、人と人をつなぎ関係を育む場所を目指している。

2013年ごろから建て替えの検討を開始し、新社屋での働き方について議論を重ね、「コミュニケーション」「エンゲージメント」「効率」を軸として、オフィスレイアウトの検討を進めた。

執務エリアについては、当初は8割の部署が固定席の継続を希望していたが、コロナ禍により柔軟な働き方への必要性が高まり、部署ごとの自由席を導入することとなった。

また、新社屋での新しい働き方の浸透に向けセミナーを行い、社員の自律的な行動を促すため、新社屋で目指す働き方を定めた。

オフィス全体の階層


フロアマップ

5階以上が丸紅専有フロアであり、8階から20階が丸紅の一般
執務フロアである。

8-20階 一般執務フロア
7階 社員食堂フロア
5階 丸紅来客フロア
4階 貸会議室フロア(貸会議室・コミュニケーションラウンジ)
3階 ホール・ギャラリー
1階 エントランス


コンセプト



丸紅の〇(まる)にちなみ、新しいワークプレイスでは「Circle」「Huddle」「Round」の三つの「場」を設け、つながり、成長を生むワークプレイスとして「Chain」をコンセプトとした。三つの「場」を自律的に選択する「自由席」が丸紅の新しいオフィスでの働き方である。



「Circle」は、自然と集まり、目標に対してひとつの「円」のようにつながること、「Huddle」は、アメリカンフットボール用語で使用される作戦会議=「円陣」のこと、「Round」は、思い思いの場を選び、思いやアイデア、想像を巡らし「円熟」させることを指している。


Circle


Circleの様子
機能的なデスク&チェアは自由席となっている

部署ごとに割り当てられたデスクは自由席となっており、7割の座席を確保している。HuddleやRoundをバランスよく利用することで、全社員が出社しても満席にはならない。自由席と機能的なデスク&チェアの組み合わせにより自由闊達(かったつ)な「コミュニケーション」の仕掛けをつくり、組織の「相互信頼」や「一体感」の醸成につなげている。1on1専用の会議室や集中できる個人デスクも完備し、「効率化」の観点からもメリハリのある業務が可能となっている。


Huddle


Huddleの様子
眺めの良い窓側にはオンラインブースも見える

Circleに隣接する形でつくられたHuddleは、ちょっとしたチームの会議や情報共有などを機動的に行うためのエリア。壁のない広くオープンな空間に可動式のディスプレー、チェア、デスクを配置し、社員が予約不要で自由に集まって「コミュニケーション」をとることができる。オンラインブースも配置し、リアルとオンライン双方での「コミュニケーション」が活発に行われている。通路付近には背の高いチェアとデスクを配置し、通り掛かりの社員とのちょっとした会話のきっかけを狙っている。


Round


Roundのテーマの1つ「Morning Fresh」の様子
明るいフロアに緑が映える

執務エリアの中央に位置するRound。フロアごとに「Morning Fresh」「Magic Hour」「Midnight Meditation」の3タイプのテーマで居心地の良いシーンを演出し、社員が自由に「場」を選択できるコンセプトとしている。五感を刺激する仕掛けを駆使し、シーンごとに音響や香りに変化をつけている。「Morning Fresh」は丸紅が誕生した1949年12月1日の日の出の時刻、6時32分をテーマとし、BGMとして丸紅発祥の地である緑豊かな滋賀県豊郷町の自然音が流れ、時間に合わせた森の息吹を感じ取ることができる。業務に合わせた「場」の選択で「新たな価値創造」や「効率化」を目指している。


社員食堂フロア


自慢の社員食堂「〇Café」

7階の「〇Café(まるカフェ)」と名付けられた社員食堂は社員に大好評のフロア。まるでおしゃれなレストランに来たかのような空間は、エリアによってデザインが異なる。オープンスペースにはスクリーンが設置され、個室はチームでの歓送迎会などにも使用できる。社員が調理できるキッチンもあり、イベントスペースとしても使用できる。


〇Caféのうさぎとカメ
創業者・伊藤忠兵衛の甥で丸紅商店専務の古川鉄治郎が建設した
豊郷小学校の階段に飾られているもののレプリカ

〇Caféの所々で、丸紅ゆかりの豊郷小学校旧校舎群に飾られている真ちゅうのうさぎとカメのレプリカが顔をのぞかせていて、随所に丸紅らしさが垣間見える。

(参考)
丸紅の歴史 古川鉄治郎という「近江商人」
丸紅の歴史 丸紅発祥の地、豊郷町を訪ねる


アフターコロナへ


一般執務フロアのRoundエリアは、本来は階をまたいで好きな「場」を利用できるが、現在は新型コロナウイルス感染拡大防止のため自粛している。7階の〇Caféでは各テーブルにアクリル板を設置するとともに、利用者にソーシャルディスタンスと手指消毒を徹底し、黙食を推奨している。さらに、3階のホールを新型コロナウイルスワクチンの職域接種会場として利用するなど、コロナ禍の中でさまざまな努力・工夫を続けている。丸紅は、アフターコロナに向けて、「社員一人ひとりと会社の相互信頼により、共に成長していく」働き方のあるべき姿を追求し、新社屋を活用した新たな価値創造に取り組んでいる。


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