本企画取材訪問施設ご案内

気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館


気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館


東日本大震災遺構・伝承館は気仙沼市の中心付近、三陸復興国立公園 岩井﨑の内陸に位置する。将来にわたり震災の記憶と教訓を伝え、警鐘を鳴らし続けるために震災遺構を「目に見える証」として活用し、気仙沼市が目指す「津波死ゼロのまちづくり」に寄与することを目的として建てられた。校舎の4階まで甚大な被害を受けた旧気仙沼向洋高校に隣接し、校舎の内部が見学ルートに含まれる。見学ルートとして整備された部分もあるが、津波の威力を物語る遺構の数々を保存している。震災の日から天井に引っ掛かったままの靴、荒廃した複数の教室、津波によって流れ着き校内に入り込んだ乗用車など、当時のまま残されている。

本施設では、体験プログラムとして「語り部ガイド」「防災セミナー」「ワークショップ」を実施している。「語り部ガイド」は、被災した記憶を若い世代に伝承する取り組みの一つであり、大人の職員だけでなく、地元の中高生自らが伝える側の役割を務める場合もある。

本施設は、震災遺構の選定に当たり被害状況を十分に確認・考慮する必要があり、2019年3月10日に公開されたばかり。見学ルートには写真展示やシアターも含まれ、当時の被災地の記憶をリアルに振り返り、被災した方々の悲しみ・苦しみ・生きる強さを感じ取ることができる。旧気仙沼向洋高校では亡くなられた方はいないが、屋上から見える「杉ノ下高台」では津波により約60人が亡くなられた。気仙沼を訪れる際にはぜひ足を運ばれたい。

伝承館~震災の記憶と教訓を伝える~


佐藤館長

気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館 館長 佐藤克美氏よりコメントをいただきました。

気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館は、2019年3月10日に開館し、2020年9月27日に来館者10万人を達成することができました。これもひとえに全国の皆さまのご支援によるものと深く感謝しております。

私たちは、東日本大震災を経験し、全国の皆さまに支えられ、人の「縁」の大切さを教わり、大震災から復興の一歩を進めることができました。これからの私たちの使命は、この震災遺構・伝承館で東日本大震災が風化しないように記憶と教訓を伝え続けることだと思っています。そして、東日本大震災によってつながった縁を大切に、全国の支援者の皆さまに気仙沼を思い出していただける場所であり続けたいと思います。

ぜひ気仙沼にお越しの際は、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館にお立ち寄りください。


気仙沼市まち・ひと・しごと交流プラザ(PIER7)


気仙沼市まち・ひと・しごと交流プラザ(PIER7)外観
菅原気仙沼市長と中村ABIC 名誉会長の対談の会場となった


東日本大震災により被災した「気仙沼市観光物産センター(エースポート)」と「気仙沼市勤労青少年ホーム(サン・パル)」を合築再建した複合施設として2019年4月13日から開館している。内湾を望める開放的な外壁の一部に、7番岸壁を示す「PIER7(ピア セブン)」の看板があり、それがトレードマークになっている。

この施設は、観光と地場産業の総合的な振興・育成を図り、地域経済の発展を促進することを目的に、活力やにぎわいをもたらす交流の拠点として、勤労青少年向けの軽運動室や防音設備完備の音楽スタジオを備えただけでなく、まちづくりに参加する学び・共創・協働する場として、市民一人一人が主体的にまちを創造していく起点になっている。建物の一角には、コミュニティーFMのオープンスタジオがあり、2階のポートデッキからは美しい内湾を望むことができ、子供連れの家族などでにぎわう。また、夜の港に浮かび上がる姿は大変美しく、復興を象徴する姿となっているので、気仙沼にお越しの際には、ぜひ足を運んでいただきたい。

復興を生かしたまちづくり~人材育成~わくわく感の雰囲気づくり

本施設建設の計画段階からプロジェクトを中心で進めてこられた小野寺憲一氏
(現・気仙沼市震災復興・企画部 部長)よりコメントをいただきました。


気仙沼が東日本大震災後に進めてきたことは、震災からの復旧・復興というよりも、復興事業を使ってまちが抱える課題をどのように解決し、未来の気仙沼のあるべき姿の基礎を築けるかという、まさに「まちづくり」そのものでした。復興を生かしたまちづくりを進める中で注力したのは人材育成です。全国的な経済団体や有識者の力も借り、産業を担う若手社長、まちの活力に寄与する若者や移住者、コミュニティー再生のキーとなる自治組織関係者、未来を創造する高校生など、育成と交流から新たな価値を生み出す人から始まる地方創生を目指してきました。その中から数々の成果が生まれてきましたが、何よりもまち全体として「何かが起きそう、起こせそう」「チャレンジできる・チャレンジを応援する」という“わくわく”“きらきら”の雰囲気を作り出すことができてきました。このように、「街中で、対話から共創・協働が生まれる仕組みを作り、新しい挑戦やイノベーションが次々に起こる、市民が主役のまちづくり」を気仙沼まち大学構想と名付け、未来に向けたまちづくりを進める、その拠点が「まち・ひと・しごと交流プラザ(PIER7)」です。

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