ミャンマー マンダレー国際空港運営について

株式会社JALUX
空港事業開発部 運営管理課長
山沢 義之
三菱商事株式会社
交通インフラ事業部 部長代理
岸川 典子

1. ミャンマー マンダレーとは


マンダレーはミャンマー国のほぼ中央にあり、ミャンマー最大の都市であるヤンゴンの北700kmに位置しています。かつてはビルマ最後の王朝の首都であり、現在も旧王宮の建物が残されている他、無数の僧院とパゴダが存在するミャンマー中北部の政治・経済・文化の中心地です。マンダレーの北東に位置する高さ230mを誇るマンダレーヒルは丘全体がまるで一つの寺院のようになっており、頂上の境内からはマンダレー市内が一望できる人気の観光スポットになっています。

マンダレー西部には、中国国境付近からマンダレー平野を抜け、アンダマン海に注ぐミャンマー最大の大河であるイラワジ川(ミャンマー名:エーヤワディ川)が流れています。

マンダレー南西には、カンボジアのアンコールワット遺跡・インドネシアのボロブドゥール遺跡と並ぶ世界三大仏教聖地と称されるバガン遺跡があり、マンダレーの中心部からは飛行機で約30分・バスで約4−5時間もしくは前述のイラワジ川を下る船で約6時間ほどで行くことができます。その他マンダレーの南西にあるインレー湖も人気のスポットです。

このようにミャンマー中北部には観光客に人気のスポットが数多く存在し、マンダレーはこのミャンマー中北部のハブとなっています。そしてその空の玄関口が、マンダレー国際空港です。


マンダレーヒル


バガン遺跡


イラワジ川


インレー湖


2. マンダレー国際空港運営について


マンダレー国際空港を運営する「MC-JaluxAirport Services Co., Ltd.」(以下、MJAS)はJALUX・三菱商事・YOMA DEVELOPMENT GROUP LIMITED社(ミャンマー大手民間企業SPAグループ)の3社による合弁会社として設立され、2015年4月の運営開始以来、現在に至るまで、同空港の運営を担っています。

本件は日本企業が初めて、海外において100%民間資本で取り組む空港事業民営化プロジェクトです。MJASはターミナルビルの管理のみならず4,268mの長さを誇る滑走路などの空港関連施設の補修改善・維持管理を含む同空港の運営全般(航空管制など一部業務を除く)を担っており、昨今日本においても民活空港運営法で推進されている空港関連施設と空港ビルの「上下一体化」運営を行っています。

同空港は2000年に建設され、2015年にMJASがミャンマー当局より運営を引き継いだ当初は、各種施設および設備の故障や不具合が数多くあり、いわゆるハード面の修復および改修に奔走しなければならない状況でした。また、ハード面の改修に加えて、ミャンマー当局より引き継いだ現地従業員に、日本水準のホスピタリティを根付かせるため、日本から専門のトレーナーを現地へ派遣し、また日本国内にも現地従業員を招聘(しょうへい)して研修を行うなど、ソフト面の強化にも取り組みました。さらに2017年2月には、ミャンマー国内で初となる、航空機事故の発生を想定した大規模救難訓練を実施しました。

ミャンマーの人たちは「勤勉」「素直」といわれますが、同空港ではまさに、現地従業員が真摯(しんし)に前向きに取り組んだかいあって、ハード面・ソフト面とも見違えるように改善されました。その結果、2013年度に約75万人だった年間乗降客数が、2017年度には約132万人のお客さまにご利用いただける空港にまで成長しています。

また、2018年12月には航空貨物ターミナルが新設されました。現在、同空港での航空貨物の取り扱いはまだまだ少ない状況ですが、今後は豊富なミャンマー産の農産物などの輸出産品をはじめとした航空貨物を増加させていきたいと考えています。

ミャンマー第2の都市であるマンダレーは、国の中央に位置し中国やインドにも直接アクセスできる交通・物流の要衝となることが期待されています。将来的にはこのマンダレーがヒト・モノが集積する真のハブになるように、引き続き空の玄関口となるこのマンダレー国際空港の機能強化に努めてまいります。

2018年10月からは日本人の観光目的での入国者に対するビザが免除されましたので、今後一人でも多くの日本の方々がミャンマーそしてマンダレーを訪れることを願ってやみません。

私たちはこれからもこのマンダレー国際空港の運営事業を通じて、ミャンマーの経済発展や地域の活性化に貢献してまいりたいと考えています。


マンダレー国際空港


マンダレー国際空港

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