出版記念シンポジウム「中国ビジネスと商社―巨大市場へのあくなき挑戦―」


WTO加盟によって中国が大きく変わろうとしている。特に注目すべきは、国際化・市場化が一層加速すると思われることである。国際化について言えば、関税切り下げや非関税障壁の除去が進展し、製造業に限らず金融・保険をはじめとするサービス分野を含め、幅広く門戸が開放される。一方、中国企業の立場からすると、従来は「引進来」つまり、外国企業に来てもらって合弁事業をするといったことが主流であったが、今後は「走出去」つまり、中国企業自身が対外投資も念頭に入れたグローバルな展開を始めている。また、輸出などの形で国際市場に打って出る中国企業にとっては、安定した国際通商環境を確保できることが大きなメリットであろう。

市場化については、WTOのルールが適用されることにより競争的かつ公平な市場の確立が期待できる。ことに、外国企業の参入、民間企業の増加等によってすでに兆しが表れ始めている電信や航空業界を皮切りに国有企業による独占体制が大きく変わっていこう。また、従来、計画経済の下で大きな権限を持っていた政府の役割も、公共財の供給とレフェリーとしての役割が主たるものになっていくと考えられる。