住友商事のNS研修プログラムについて

住友商事株式会社
人事部 部長代理 国際人事チーム長
本村 恵三
中国住友商事会社
人力资源部 华北人事科 科长
姬 广涛
天津住友商事会社
天津业务科 科长 华北人事科 天津担当科长
蔡 凤云

住友商事本社で行われたNS研修の「日本語MDP研修」に参加された、グローバル人材の当事者として中国で働かれている姬さん・蔡さんに、研修参加への意気込みや目標、将来のキャリアプランなどについてお話を伺った。


左から蔡氏、本村氏、姬氏


1. 住友商事のナショナルスタッフ(NS)育成について


(本村)住友商事では、Inter–Office Training(IOT)、Management Development Program(MDP)、Global Leadership Program(GLP)という3つの階層別にNS研修を英語で実施しているが、2年に1度、日本語でのコミュニケーションに不自由のないNSに対する日本語での研修も実施している。今回は、組織長として部下を指導・育成するマネジャークラスの育成を目的とした日本語MDP研修として、アジアを中心に参加者を募り、リーダーシップ能力やマネジメント能力の強化を図るための研修を企画した。研修参加時には、必ず当該社員の本社でのカウンターパートとなる部署との顔合わせを行うことで、本社の仕組みの理解や人的交流を促進する機会も提供している。また、各研修の2ヵ月後・1年後に本人・上司間でのフォローアップを実施させ、研修を受けたまま終わらせるのではなく、その研修の効果検証や研修で勉強したことをどのように現地の仕事に活かしているのかフォローアップするようにしている。


2. 日本語MDP研修で身に付けたいスキルとは?


(姬)日本本社での研修に参加するのは今回が初めてだが、特にリーダーシップ研修で自分のスキルアップを目指したい。具体的には、リーダーシップ研修を通じてマネジメント能力を向上し、北京に帰ってからは、そのノウハウを利用して部下の育成に注力したい。
(蔡)以前IOT研修を受講して以来、2度目の本社研修への参加である。前回の研修に参加した際、もっと早くこの研修に参加すべきだったと痛感したため、今回は本社の仕組みなどをより深く理解し、天津に戻ってから業務の効率化や部下の育成などに活かすため、しっかりとそのノウハウを勉強して帰りたい。
(姬)中国でも住友商事は、日本に関心のある中国人の間で知名度が高く憧れの会社であり、同時に住友商事の提供する人材育成制度も人気が高い。最近は中国でも、より長く1つの会社で働くために社内でスキルアップをしていきたいと考える人が増えたため、提供される人材育成制度が魅力的に映っていると感じる。
(蔡)天津住商は少ない人数で多くの業務をこなしているため、仕事上は専門知識のみならず幅広い知識を持つことが重要となってくる。今後は研修で得た知識を活かし、部下の業務の効率化が図れるようにしたい。また最近は、チー ムワークを重んじて仕事をする環境になってきており、チームワークの強化を会社からも求められているため、今回の研修で学ぶ人事管理やマネジメントについては、すぐに自社に戻って実践できることも重要なテーマであるといえる。
(本村)本社ではIOT研修・MDP研修・GLP 研修とステップアップしていく研修を提供しているが、中国にはGLPまでクリアしている方や、研修を修了し部長クラスに就いている人材も多い。その点からみても、中国のNSにおける人材研修に対する意欲がみられる。


3. キャリア形成について


「マネジメント能力を向上させたい」と語る姬さん

(姬)日本人と中国人のキャリア形成の捉え方の違いという点では、中国人はまずキャリアを考えるときには、何かの分野のプロフェッショナルになることを目指し、そのために必要な知識やスキルを身に付けることを目標とする傾向があり、資格やMBA取得などを通じ専門的な知識を得ることがキャリアプランの中に組み込まれている。しかし、日本人の場合、会社から幅広い知識を習得することが求められているため、専門性よりもまずは総合的な知識を向上させる点が、中国人とは異なると感じられる。


4. NS研修に参加する魅力とは?


(姬)本社は、会社の方針や戦略を策定する中心であり、人事担当者として日々の仕事に活かすことのできる本社の考え方を学ぶ研修の機会は貴重である。会社全体の考え方や組織の仕組み、業務の効率化など、さまざまなノウハウを身に付けられることは魅力的と捉えている。
また、本社研修へ参加することで、本社人員との人間関係を構築できるため、仕事をスムーズに進めやすくなることも研修参加による付加価値と捉えている。
(蔡)初めて本社に来たときには、本社ビルの大きさに驚いた。普段は、日本と中国という離れた場所で、異なる職場環境で働いているため、研修の機会に本社の環境を知ることで、今後天津に帰ってからも的確に本社の業務を把握できるようになると考えている。
(本村)研修を受けたNS がそのノウハウを持ち帰り、職場で共有することで、より深く「住友スピリット」が浸透することを図っている。


5. 住友商事のグローバル人材育成の展望


(本村)本社研修には、海外店舗のみならずグループ会社からも多数参加いただいている。住友商事の目指すグローバル人材育成とは、本社が研修プログラムを提供するだけではなく、各地域がおのおののニーズに即した研修体系を構築し人材育成を行い、本社の研修とリンクさせることを理想とする。中国での取り組みは、現段階でその理想形に近いといえる。今後、全世界的に各地域での人材育成プランを底上げし、さらにグループ会社へも本社理念を浸透させていきたい。


6. 住友商事のグローバル人材として働く方へのメッセージ


「部下の育成に注力したい」と語る蔡さん

(蔡)必ず学ぶチャンスは巡ってくるので、まずは、焦らずに毎日の業務を行ってほしい。そして、チャンスがあるときには、しっかり学んでほしい。

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