伊藤忠商事のNS(National Staff)本社UTRプログラムについて

伊藤忠商事株式会社
食料カンパニー食料事業統括第二室
Sandra Chang

1. NS本社UTRプログラム


伊藤忠商事の「NS本社UTR(U-TurnRotation)プログラム」は、海外スタッフの人材育成と、本社の人材多様化、グローバル企業化を促進することを狙いに、本社各営業部門・職能部に海外スタッフを受け入れ、伊藤忠商事の企業理念、社風、文化の理解、本社業務を通じたスキル・知識・経験の習得、人的ネットワークの構築を行う制度として2008年度に導入された。受け入れ期間は1−2年で、過去3年間で合計59名(2011年7月末現在)のNSが本社へ派遣され、全ての営業部門・職能部での受け入れが実施された。


2. 日々の業務


本プログラムを通じて、ニューヨークから2年間の派遣として2010年5月に来日した。現在、食料カンパニーにおける事業会社の統括業務として、経営計画の採算性、事業拡大・成長の分析、事業会社のマネジメント・サポートなどを担当し、事業会社の経営状況をカンパニー・プレジデントへ報告している。来日から1年が経過したが、本プログラムは、いわゆる付きっ切りの指導や座学による研修スタイルではなく、本社社員の一員として通常の業務に携わるOJT形式のプログラムである。


3. 本社勤務での経験と今後の目標


本社と比べるとニューヨークの事務所は小規模であるため、自分の裁量で進められる業務もあったが、本社は組織も大きく、さまざまな階層の人に相談しながら業務を進める点が大きく異なる。ニューヨークでは、本社は遠く離れたところの存在という印象を持っていたが、本社勤務を通じて、さまざまな人が議論に関わり、ニューヨークからは見えなかった本社の取り組みや動きを理解することができた。また、商社はグローバルな事業展開をしているため、世界全体を把握しなければならないという点も、本社勤務を通じてあらためて認識した。今後はニューヨークと本社勤務の経験を活かして、伊藤忠グループ全体として、コミュニケーションを促進できるような提案をしていきたい。


4. 今後のキャリアについて


将来のキャリアとしては、会社のマネジメント業務に関心があり、効果的なマネジメントやその制度を考えるため、営業などさまざまな経験を積んでいきたい。本社勤務では、多くの同僚から仕事や会社に対する意見を聞く機会が多く、自分が将来、マネジメントに関わることがあるとすれば、こうした考え方も参考にしていきたい。キャリア形成については、日米間でやや見方に違いがあるかもしれないが、社員個人と会社との間で密接なコミュニケーションを図ることが重要である。そして、どのような組織に所属していても、個人が会社に貢献できていると感じられることが大切である。


5. グローバルな活躍を目指している方々へのメッセージ


あえて英語で表現すると、It takes more than the plane ride. The real challenge is learning to do the same thing in a different way. Don't be afraid to take that challenge. つまり、グローバルであるとは、ただ海外に出向くことではなく、その土地の方法で同じようにやることを学ぶこと、そして、「学ぶ」とは、知らないことを誰かに聞き、新しい知識を自分の中で把握し、新しい知識を使えるようにすることである。また、自分で積極的にアクションを取ることでもある。何か同じことを行う場合でも、さまざまな方法があり、方法は1つだけではないという認識が大切であると思う。

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