オフィス担当者インタビュー 30年後を見据えて

兼松株式会社 総務部 総務課長梶内 尚史
兼松株式会社 人事部 人事企画課田中 健介
兼松株式会社 総務部 総務課中井 愛子

兼松株式会社の本社移転チーム担当者から、新オフィスについてお話を伺いました。
※文中敬称略

移転の背景


左から、中井氏、梶内氏、田中氏

梶内:兼松の東京本社は、元々日本橋にありました。その後、内幸町、丸の内を経て京橋に24年、浜松町に30年間本社を構えていましたが、駅から遠いなど不便なところもあり、都心エリアに移転することになりました。品川、日本橋、田町などさまざまな場所を検討したのですが、「原点回帰」ということで、丸の内を選びました。私自身はインドネシアのジャカルタ駐在から帰ってきて総務部へ異動後、移転プロジェクトの担当となり、田中君は元々人事部所属だったのですが、「レンタル移籍」のような形で総務に来てもらい、中井さんは新卒で入社して1年目、というタイミングで本社移転チームが結成され、オフィス移転プロジェクトがスタートしました。


社員の皆さまの反応は?


梶内:2019年10月1日に本社の移転計画が社内で公表されました。この日は下期の初日にあたるため、社長から管理職に向けて訓示を行う機会があります。この時は、期待していたような反応はあまりなかったのですが、同日の内定式で入社内定者の皆さんに発表したところ、大きな反響を得られました。

中井:浜松町のオフィスは、駅から遠く夏冬は駅からの通勤が大変でしたが、丸の内は駅から直結で便利で良いです。

新オフィスの工夫は?


「場所が人をつくる」をコンセプトに作られた社員が集うオフィス

中井:今回の移転に当たっての経営陣からのミッションは「30年後を見据えた兼松の成長を支えるワークプレイスを構築する」というものでした。例えば、今回「ABW」という働き方を導入したり、カフェを併設し、そこで勤務できるようにしたり、コミュニケーションの活性化を狙って、社屋内に内階段を造り、そこの近くにソファーを置いたりと、働き方の多様化を狙いとした工夫を行いました。他にも、照明やレイアウトなどもこだわっています。

田中:「従来のオフィスの設計思想の延長線上にオフィスを作っても何も変わらない」と考えました。まずは働く場所から変革を起こすことで、そこで働く人にも変化が起こり、最終的には企業そのものが変わるのではないか、つまり「場所が人をつくる」というコンセプトが根底にあります。典型的なオフィスらしさが出ないよう気を付けました。


実際にオフィスを使ってみた社員の反応は?


田中:最初は「背伸びし過ぎたかも?」と思うような反応でした。「ここがオフィス?」という感じで。事前に従業員向けに説明会を行い、イメージパースを見せていました。その時も、ざわざわしていました。最初は「ちょっとどうかな?」と思いましたが、今は皆慣れてきたかな、と感じます。


思わぬ副次的効果などは?


会議室の様子
会議室以外にもふんだんにコミュニケーションスペースを完備

田中:想像以上だったことは、社外の方が本当によく来てくださるようになったことです。来客用の会議室が全然足りないといろいろな部署から言われます。元々いた浜松町のオフィスよりも会議室の数は増やしているのですが、それでも足りないと。会議室以外のエリアでも、お客さまとのコミュニケーションが増えているので、そこも良かったです。


移転前と移転後で、ズバリ一番変わったなと思うことは?


中井:「紙」について一番変化がありました。浜松町にいた時は紙文書の量が多く、積み上げると富士山並みになる量がありました。移転後、断捨離キャンペーンの名の下、紙文書削減のキャンペーンを2回行ったのですが、約10分の1の300ファイルメーターまで減りました。前のオフィスでは、文書を置くための無駄なスペースが存在していたことも断捨離キャンペーンを始めた理由でした。現在はそのようなスペースはなく、基本的に各部署キャビネット2本までという制限でやってもらっています。また、ABWで他部署の働き方が可視化されたことで、ペーパーレス化の意識が部署を越えて伝播(でんぱ)していることもあると思っています。


逆に、フリーアドレスであることで、部署の人とのコンタクトの取りづらさなどは?


梶内:最初は、部下が近くにいないことで部課長が大変、というのはありましたが、今はBluetoothを活用して管理職が職員の位置情報を取得できるようにしています。フロアも16階・17階の2フロアしかないため、用があるときは声を掛けやすい環境がそろっています。私などもそうですけど、歩いている方は大体自分の部下を探している最中です。グループで固まって座ることも禁止にはしていないので、その辺もトライ&エラーで試行錯誤しています。

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