2023年3月号(No.814)
新オフィスが入居する東京日本橋タワーは、東京駅から徒歩圏内に立地し、タワー直結の日本橋駅ほか3駅20路線が利用可能である。社員の通勤の負荷を減らし、顧客との営業上の利便性向上にもつながっている。
ESGの観点から見ると新オフィスは以下の特徴を備えている。
省エネ・環境保全への貢献を目指し、DX化の推進(IT化、デジタル業務化等)によるペーパーレスやクリアデスクの取り組みを徹底している。書類保管量は移転前と比べて60%を削減。紙の書類を増やさない工夫として、定期的な棚卸しの一斉実施、電子記録債権等への変更による手形レス化、業務効率化の観点から契約書の電子署名サービス等も導入している。紙・物・場所に縛られない働き方と職場を目指す基盤となるオフィスを作り上げた。
テレワーク、フレックスタイムを活用した出勤など多様化したワークスタイルに柔軟に対応するため、従来の固定席からフリーアドレスに変更するなど、社員の業務効率改善、ワークライフバランスを実現し、改善力、発想力、想像力、構想力が高められる環境を整備した。
BCP(Business Continuity Plan「事業継続計画」)をはじめとしたリスクマネジメントのさらなる推進のため、オフィス全体の有効活用と変化に耐え得る柔軟性の確保を進めている。
新オフィスが入居するビルは地震に極めて強い免震構造が採用されており、震災発生時は自家発電機から非常用電源が確保される。社員の防災への取り組みとして、非常用ヘルメットを常備し、災害時に活用できるよう動線を組みつつ、防災訓練を定期的に実施している。
オフィス内の社員の所在はスマートフォンで瞬時に検索でき、スマートフォン上のフロア図に位置情報が表示されるため、社員の所在が瞬時に分かる。主要会議室にはTV会議システムを設置し、国内外拠点間のコミュニケーション活性化を図っている。
広々とした執務エリアはフロア全体を見渡すことができ、社員が一体感を持って業務に当たっている。各部署内はフリーアドレス仕様としており、業務によって集まる場所やメンバーに変化を持たせつつ、密なコミュニケーションに事欠かない工夫をしている。天井部に数ヵ所ずつ設置したモニターは、社員へのスムーズな情報伝達に役立っている。
また、ウェブ会議への対応や集中作業を行うABW席(Activity Based Working席)として、少人数で利用できるブースを用意した。ワークショップ型で臨機応変に打ち合わせができるよう予約不要としたところ、社員間で有効活用されており、常に人気のスペースとなっている。
広々とした会議室。窓からはスカイツリーを見ることができる会議室も
全ての会議室やオープンミーティング席にモニターを設置したことで、紙を使用せずに資料を共有できるためペーパーレス化が進んでいる。IT機器は誰もが違和感なく使用できるようシンプルで使いやすい仕様を選び、手に取りやすい配置が工夫されている。各会議室は廊下側に膨らむように配置されており、室内の広がりがさらに感じられる作りとなっている。
食堂はカフェ形式を採用し、いろいろなシーンで活用できるエリアとして、多様な部署の社員が集い、自然と会話が生まれ、情報を交換できる多目的スペースとなっている。コンクリートや配管が見えるように設計した吹き抜けの天井部は、社員の声を活かした仕様の一つであり、洗練された印象的なデザインとなっている。リラックスした雰囲気は社員同士のコミュニケーションにもつながり、商談で活用することで顧客との対話が円滑に進む効果も期待される。いすや机は自在に移動できるので、設置したスクリーンに映像等を投影すれば、大型の社内イベントスペースにすることができる。