インタビュー① 双日株式会社

広報部 報道課課長今井 健児
広報部 制作課矢ヶ崎 麻子

ブランディングは自社の潜在価値の見極めから

ブランディングに関する貴社のお取り組みの経緯と現状についてお話しいただけますか。


インタビューの様子
上段右 今井氏、上段左 矢ヶ崎氏、
下段左 徳永氏、下段中央 当会岩田、下段右 当会野田
※一橋大学大学院阿久津研究室/株式会社ロマーシュ代表取締役
徳永麻子氏にご同席いただきました。

今井:双日は、日商岩井とニチメンが合併して、2004年4月1日に誕生した会社です。双日になって今年で18年目ですが、150年以上の歴史的ルーツを持っています。

当社の認知度を調査すると、ビジネスマンからは確実に認知されているものの、一般の認知度がまだ低いことが分かりました。数年後に創立20周年を迎えるに当たり、昔の成り立ちから語るのではなく、「This is 双日」を知ってもらうことを目的に2019年からブランディングを始めました。

矢ヶ崎:ブランディングの取り組みとしては根幹となる「双日らしさ」を見極めることから始めています。双日の潜在価値を言語化するプロセスです。まず、社員の自社に対する認識を調査するため、シニアから若手までインタビューやディスカッションを行いました。結果、世代間である程度の認識ギャップはありつつも、双日としてのプライドや価値に対する認識には差がないことが見えてきました。現在、次のステップとして、社外からの認識を調査しているところです。

「マイ双日」を言語化するプロセス

ブランディングの取り組みにはご苦労や悩みが多いのではないでしょうか。

今井:双日とは何か、を伝わる形で言語化できていないことが最大の悩みです。ブランディングは社内外の多くの関係者からヒアリングを行い、分析を繰り返す果てしないプロジェクトでとても大変です。しかし、ブランディングのプロセスで社員が自分の会社について語る機会をつくれたことはとても良かったと思います。皆、自分の考える双日とは何かをちゃんと持っていて、とても生き生きと語ります。逆に、これまでは語れる場がなかったことに気付きました。少し前まではちょっと飲みに行って皆で自分の会社についてフランクに語り合うことができました。コロナ禍では、どうしてもメールやオンラインによるコミュニケーションが主流となり、やりとりが希薄になっています。そうするとちょっとした会話もなくなり、ささいな瞬間に生まれる会社についての話題も減っていたのです。

矢ヶ崎:インタビューやディスカッションは、社内を巻き込んで多くの社員にブランディングに携わってもらい、自分事にしてもらう手段の一つとして実施しました。インタビューやディスカッション中に出た小さなギャップは、議論のネタになって場を活性化させる格好のエッセンスになっています。社内を巻き込み、双日らしさに目を向ける重要性を社員の皆さんに理解していただくことも広報部の大事な仕事だと思っています。

今井:広報部のブランディングの取り組みを通して、社員一人一人が自分の思う「マイ双日」を意識して考え始めています。より多くの社員が自社のブランディングに関わっていくことで、会社の柱になるブランディングが出来上がる可能性があります。

記事広告によるインターナルコミュニケーションの狙い

「Hassojitz」の広告が目立ちますが、ブランディングの中でどういった位置付けなのでしょうか。


反響の大きかったNewsPicks の記事広告
「Hassojitz(発想×双日)プロジェクト」

矢ヶ崎:「Hassojitz」は自社のスローガンである「New way, New value」から抽出した広告のキャッチフレーズです。「発想を実現する双日」を意味します。「Hassojitz」というワードを使い始めたのは3年くらい前からで、社内でも浸透しています。「Hassojitz」のロゴの使用に関して問い合わせが増えているのですが、「New way, New value」があっての「Hassojitz」なので、二つを結び付け双日をよりよく認知・理解してもらうため、機会を見極め発信していきたいと思っています。

今井:2020年後半からNewsPicksのBrandDesignというコーナーで継続的に記事広告を掲載しています。最近では「Hassojitz」プロジェクトの様子を記事化して社内外から反響がありました。記事広告をNewsPicksに掲載したのは若手へのリーチとインターナルコミュニケーションの活性化の二つが目的です。NewsPicksの記者に分かりやすく書いてもらうと、社長の考え方が社内にも伝わりやすい印象があります。社員に会社についていろいろと考え、「双日らしさ」を自分事として考えるきっかけにしてもらえれば、結果的に良いインターナルコミュニケーションになると思います。

コロナ禍で気付いたコミュニケーションの難しさ

コロナ禍はブランディングにどのような影響を与えましたか。

今井:コロナ禍によって、コミュニケーションが実は高度で難しいものだと気付いた方も多いのではないかと思います。だからこそ、インタビューやディスカッションは語りやすい場づくりを意識しました。例えば、自分の会社人生を語ってもらうインタビューの場合は、1対1かつ話しやすいインタビュアーを配置しました。あるテーマについてのディスカッションでは、メンバーを4人程度に抑え、1、2年前後の世代差を付けて人選し、集まってもらいました。

矢ヶ崎:ディスカッションのときに、「あれ?うちの同期ってこんなにしゃべるのか」というくらいに話がいろいろと出てきて驚いたこともあります。自分の考えを発することが得意なのも商社ならではかもしれないですね。対面の方がコミュニケーションは取りやすいですが、事業会社の社員へのヒアリングについては、オンラインコミュニケーションの方がスピード感もあり身近に感じられました。

多様性を会社の力に変える「双日ブランド」

ブランディングの重要性について教えていただけますか。

矢ヶ崎:ブランディングの重要性は、今だからこそ浮き彫りになった部分もあると思います。社内外にブランドがよりよく浸透していると、自社のファンになってくれた社外の方々や会社の一員としてプライドを持つ社員の手によって危機を乗り越えることもできるでしょう。

今井:ここにきて、多様性がさらに重んじられてきています。会社の理念やブランドが多様性を束ねて会社の力にしてくれるのではないでしょうか。「Hassojitz」プロジェクトでは、社長が全面的に登場し、求心力を持った取り組みを対外的にアピールできています。多様な取り組みを社外に積極的に発信し、会社のブランドづくりを継続的に行っていくことが、会社のイメージを一つ一つつくっていきます。また、双日は18年目の会社ということもあり、商社の中でも若い総合商社という位置付けです。自分たちでこの会社をつくっていく気概のある人たちが入社してくれています。スローガンの「Newway, New value」、広告のキャッチフレーズの「Hassojitz」、社員のエネルギーも全部合わさって最終的に双日の良さが伝わるような「双日ブランド」を創り出していければ面白いと思っています。

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