コラム:山口さんに聞いた水産養殖こぼれ話

中央魚類株式会社
鮮魚部 次長
山口 稔秋

養殖魚の種類とトレンド


ブリ:実はブリは日本近海にしかいない魚。稚魚を捕ってくるか、卵から日本で養殖します。世界中のハマチ(ブリに成長する前のサイズ)は日本でしか作られていないといえます。


タイ:最近では赤い体色や重量を養殖技術でコントロールできるようになってきました。天然のタイを普通に捕ってきて養殖すると3年で1kgくらいしか育たないのですが、養殖では2年で約1.5kgにはなる。優性遺伝で大きなタイ、成長の早いタイ、病気に強いタイ、赤色の濃いタイなどを掛け合わせていった結果です。理想のタイを安定して育てるのに数十年かかっていると思います。海外でもタイは養殖されていますが、体色が赤ではありません。赤いタイは日本で縁起物として珍重されますので、いけすに遮光ネットを張り黒く日焼けしないようにします。地中海などではクロダイやヘダイなどをタイとして養殖していてタイをただ白身魚と見なし、スズキなどと同じように日焼けを気にせず育てているようです。


ウニ:ウニは食欲旺盛で海藻などを全部食べてしまい、磯焼けさせてしまう。ウニを捕らないとまずい状況なのですが、そういうウニは卵巣が未成熟なことが多く商品価値がない。そのウニを捕ってきて、三浦半島で実験的に養殖が始まっています。ただ卵巣をつけるのではなく人工飼料を調整して、色や味を消費者の嗜好(しこう)に合わせていきます。まだ始まったばかりの試みなので、これからですが中国でもウニは最近すごく人気なので、需要は高いと思います。卵からウニを育てる技術も生み出されたようですよ。


未来の水産を守るためにできること~ MEL 認証、MSC 認証、ASC認証~


資源のサステナビリティに関して世界中で大きな話題になっています。その中で東京オリンピックの開催が決まり、すぐ隣の晴海にも選手村ができることに。限りある資源を深く認識し、態度に表すきっかけをつくりたい、そしていずれ目と鼻の先に来る世界中の人々に日本のおいしい魚を届けたい。そう考え、2015年6月15日にMSC認証*、ASC認証*を2019年2月28日にMEL認証*を取得しました。認証を取得し維持するのは、トレーサビリティの観点で産地から市場まで各種記録をつけて管理する必要があり、手間がかかる部分もあるため大変です。しかし、取得したことで買い付けの際に魚たちは限りある資源であることを改めて意識するようになりました。

世界有数の水産国として、世界に名高い豊洲(築地)市場の先駆けとなり、未来の水産業に貢献したいという思いが私たちにはあるのです。

*MEL(マリン・エコラベル・ジャパン、マリン・エコラベル・ジャパン協議会)認証
日本の漁業・養殖業の多様性を考慮に入れた環境に優しい方法で行われている漁業や養殖業に与えられる認証。
https://www.melj.jp/

*MSC(Marine Stewardship Council、海洋管理協議会)認証
海洋の自然環境や水産資源を守って捕られた水産物(シーフード)に与えられる認証。
https://www.msc.org/jp

*ASC(Aquaculture Stewardship Council、水産養殖管理協議会)認証
環境に大きな負担をかけず、労働者と地域社会にも配慮した「責任ある養殖水産物」に与えられる認証。
https://www.asc-aqua.org/ja/

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