日本貿易会副会長による 「新年の抱負」

三井物産株式会社 社長安永 竜夫
三菱商事株式会社 社長垣内 威彦
双日株式会社 社長藤本 昌義
伊藤忠商事株式会社 社長鈴木 善久
豊田通商株式会社 社長貸谷 伊知郎
丸紅株式会社 社長柿木 真澄

変革と成長


安永 竜夫
一般社団法人日本貿易会 副会長
三井物産株式会社 社長

世界では国家・地域間で価値観や思想の多様化が進み、さまざまな次元で混沌(こんとん)とした政治・経済情勢となっている。将来を見据えた手を打つことは引き続き重要だが、変化に柔軟に対応できる体制を整えることが求められる時代。新年度から「中期経営計画2023」がスタートし、5月には新本社ビルが完成し約5年半ぶりに大手町に戻る。中期経営計画のメインテーマを「変革と成長」、サブテーマを「新たなステージに向けたコミットメント」とした。「殻を突き破り、脱皮し、成長する」ことを必ずや達成する、そういった思いを込めたもの。実現のためには、「より強い個」を目指し、「共につくる」ことを特に心掛けていきたい。挑戦と創造の精神で自己変革と進化を繰り返してきた三井物産の強みが、まさに発揮できる時代だ。


社会・産業の課題解決に資する事業を構想する


垣内 威彦
一般社団法人日本貿易会 副会長
三菱商事株式会社 社長

本年は、米中間で構造的な摩擦が続く中、米国大統領選や台湾総統選がもたらす影響に注視が必要である他、中東情勢の緊張長期化懸念やBREXITも見込まれ、世界情勢の不確実性が続くことは避けられない。一方で、デジタル化を含む技術革新は幅広い産業で構造変革をもたらしている。事業環境も加速度的に変化しており、スピード感を持った対応が必要となる。この変化の先にある将来をしっかり見極め、既存のビジネスモデルに囚われずに、業界のくくりを越えて共創し、新たな成長につながる事業を構想していく。構想の実現に向けて大胆に人材を投入することで、社会課題や対面産業の経営課題に対しても具体的な解決策を提供していきたい。当社も中期経営計画2021の2年目となるので、更に社会に貢献し、共存していくための基盤を確固たるものにしたい。


変化を恐れず、やるべき事を見極め、新たな価値を生み出す


藤本 昌義
一般社団法人日本貿易会 副会長
双日株式会社 社長

最終年度を迎える中期経営計画を、一丸となって着実に達成する。

2020年の干支(えと)は「庚子(かのえね)」となり、新しい環境へ対応する体制を整える年であり、また、新たな種が芽生えていろいろな方向に育ち始める年、となる。

次期中期経営計画を見据え、双日が次のステージに進むために何をしなければならないかを追求する。新たに取り組むべき事、継続すべき事、改めるべき事を見極め、変化を恐れず新たな価値を生み出していく。

現状に甘んじることなく、危機感を忘れず貪欲に成長していく姿をしっかりと示していきたい。


「新たな商社像」の確立に向けて


鈴木 善久
一般社団法人日本貿易会 副会長
伊藤忠商事株式会社 社長

米国によるイラン司令官攻撃という衝撃的な事件で波乱の幕開けとなった2020年の世界経済は、デジタル化による産業構造の変化も相まって、ますます先行き不透明感を強めている。

伊藤忠グループは、強みを持つ生活消費分野を中心に「マーケットインの発想」に基づき事業転換を図り、不確実性が加速する時代においても、持続可能な成長を実現する「新たな商社像」の確立を目指す。

これまでの伊藤忠を超える持続可能な成長のため創業の精神である「三方よし」に原点回帰し、社会・環境問題に真正面から取り組むことで「社会よし」「環境よし」を実現するビジネス基盤を構築し、さらなる企業価値向上に尽力する一年としたい。


「Be the Right ONE」で新たなビジネスを創出


貸谷 伊知郎
一般社団法人日本貿易会 副会長
豊田通商株式会社 社長

IT・デジタル技術の急速な進化により、近い将来、われわれの社会は現在とは全く異なる姿になる可能性がある。また、社会課題への関心や環境意識、SDGs達成に向けた世界的な取り組み機運が高まり、新たな文明社会を目指したパラダイムシフトが始まりつつある。

こうした環境変化の大きな渦の中を生き抜き、持続的な成長を続けるために当社は、お客さま、お取引さま、また社会にとって、代替不可能・唯一無二な存在である「Be the Right ONE」を目指す。

一人一人が社会課題の解決を意識しながら業務に取り組み、全社レベルで「デジタル変革」と「グローバル化」を加速させる。激しい環境変化の先回り・先読みを行い、新たなビジネスの創出に挑戦する一年にしたい。


「実行」をテーマに挑戦を続けていく一年に


柿木 真澄
一般社団法人日本貿易会 副会長
丸紅株式会社 社長

不安定で不確実性の高い世界経済・世界情勢、われわれの生活を激変させる技術革新、そしてサステナブルな社会への一層のシフトと、大きな変革の中で実力が試されている。変革の時代、読みにくい時代は総合商社の時代。社会課題、価値観の変化に対して勇気を出して一歩先に踏み出すことで、これまでの常識を乗り越え、将来を切り開き、さらなる高みを目指す。それが、今、丸紅に求められる在り方。

2019年、中期経営戦略GC2021を発表し、既存ビジネスの強化と新しいビジネスへのチャレンジの両輪により、持続的成長と爆発的成長を同時に追求することに取り組んできた。2020年は、GC2021達成に向け中核の2年目となる。「実行」をテーマに挑戦を続けていく。

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