アジアの中の日本 ―競争と融合―


21世紀はアジアの時代であると言われる。アジアは、1997年に起こったアジア通貨危機をもバネとして乗り越え、過去に想像ができないほどの驚異的な成長、変化を続けている。ここ数年は、地域協力の進展で域内の経済秩序・構造も大きな変化を遂げている。

この成長著しいアジアの中で、引き続き、日本が厳しい国際競争に打ち勝ち、アジアのセンターとしての地位を確保していくために、今、何をしなければならないのか。

スイスの国際ビジネス教育・研究機関であるIMD(International Institute for Management Development)は2007年5月に、世界主要55ヵ国・地域を対象にした2007年版「競争力ランキング」を発表した。これによると、日本は、前年の16位から24位に後退し、同18位であった中国が15位に上昇した。日本の後退は、直接投資の受け入れや企業税制、財政赤字、外国語能力などが最低水準に低迷したことが原因であるということであった。

少子・高齢化、人口減少の局面を迎えた日本が、アジアや世界の活力を取り込み、国際競争力を再構築し、アジア諸国と共生、共創を図って繁栄を共有するためには、グローバル化の流れに取り残されることなく、国内諸制度を改革し、インフラを整備し、日本の閉鎖性を払拭する必要がある。また、海外の優秀な人材を確保するとともに、海外直接投資の受け入れを拡大させて国内企業の生産効率の向上を促す必要がある。さらに、アジアとの緊密な関係の構築のためにFTA/EPAの確立は不可欠である。

それらの問題の本質、課題がどこにあり、何をなすべきか。解決の鍵はどこにあり、どのように課題が解決されるべきであるか。それらの課題が解決されれば、必ずや日本に明るい未来があるであろうことを信じ、各分野の有識者ならびに政府当局から解説、知見をご披露いただいた。

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