商社の小売フロンティア開拓


わが国の小売市場が拡大を続けていた過去において、商社は川上や川中の分野での機能強化を軸にバリューチェーンの構築を進めてきた。さらに、小売市場において業界再編や新規参入が進むようになると、商社は、資本参加や業務提携など、より積極的に川下への参入を進めてきた。

現在の日本に目を転じると、小売販売総額は1995年以降縮小が続いており、景気後退などによる短期的な影響だけでなく、構造的な消費財市場の成熟化が進行しているといえる。一方で、中国やASEAN諸国など成長著しい海外市場進出やIT技術革新による新市場創出は、まだ十分に達成されているとは言い難い状況にある。これは単に小売業の課題ではなく、これまで相対的に潤沢な日本国内市場に依存してきた消費財メーカーや中間流通業者にとっても同様の問題であるといえる。

今回の特集はここをスタート地点に、小売分野がそのすそ野を広げ新市場を獲得していくことの意義と課題を見据えた上で、商社に期待される役割を考え、小売フロンティアの最前線で商社がどのようなチャレンジを続けているかを取り上げる。


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