日本版SOX法と内部統制


新会社法の施行により2006年5月から、大会社には内部統制のシステム構築の基本方針を決定することが義務付けられ、また、取締役会設置会社は、この決定を取締役会の専決事項とするとともに、事業報告において決議概要の開示が求められた。また、2006年6月に成立した金融商品取引法によって、国内すべての上場会社は、2008年4月以降に始まる事業年度より、財務報告に係る内部統制の導入、評価、報告、監査が義務付けられた。これは米国のサーベンス・オクスリー(SOX)法による同様の制度の日本版という意味で、一般に日本版SOX法とも呼ばれる。

内部統制は、最近登場した概念ではない。当月報でも2005年11月号特集「内部統制とは」で取り上げたことがあるが、日本版SOX法が求める内部統制への体制整備に残された時間があと1年数ヵ月となる中、また2007年2月に企業会計審議会より、その内部統制整備に関する実施基準が公開、確定したことから、あらためて日本版SOX法が求める内部統制をテーマに取り上げ、企業はどのように対応していくべきかを識者にご解説いただいた。

まず、各企業が残された時間内で不備なく効率よく内部統制を構築するためには、わが国で求められる内部統制の目的、精神等を正しく理解することが重要であり、金融庁企業会計審議会内部統制部会部会長より実施基準のポイントについて、特別にご寄稿いただいた。

そのうえで具体的な取り組み手法や留意点、課題について、また内部統制の法規制をめぐる世界動向について識者にご解説いただいた。さらに、商社における具体的取り組み事例をご紹介いただくとともに、内部統制の構築は、法令遵守や義務としての側面からだけでなく、コーポレート・ガバナンスのための機能・役割という側面より、企業価値の向上としてとらえるべきであることにも触れていただいた。なお、1月23日に開催の日本貿易会ゼミナールにて、企業会計審議会内部統制部会臨時委員から「動き出す日本版SOX法」と題してご講演いただいたことから、その概要を「視点」として本特集に加えさせていただいた。

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