三菱商事が取り組む 国内太陽光発電事業

三菱商事株式会社
新エネルギー・電力事業本部 アジア・大洋州事業部 国内事業開発チーム課長代理
井上 将平

愛知田原8万kW太陽光発電所完成予想図(第一発電所:4万kW)

現在わが社では2012年7月に施行された再生可能エネルギー特措法に沿って全国10地点で合計設備容量約20万kWのメガソーラープロジェクトの開発を進めています。特措法の施行以前からパイロット案件として開発を進めていた熊本阿蘇2千kWプロジェクトについては、熊本県からの協力も頂いて2013年8月から商業運転に入っています。その他のプロジェクトについても順調に開発が進んでおり、全国でも最大規模となる愛知田原8万kWメガソーラーを含め2016年度までには全てが商業運転に入る予定です。これは限られた時間の中で効率的に開発を進めた結果ですが、以下にその開発手法の概要を述べたいと思います。

①適地スクリーニング
再エネ特措法の施行を受けて、わが社の各支店や関連会社、グループ企業などから全国規模で遊休地に関する情報を収集。その中から日射量、面積、系統連系難易度などの指標を用いて適地のスクリーニングを実施。例えば、系統連系については近傍に系統容量のある特別高圧線の存在を条件とし、また土地についても複数の地権者ではなく、企業や自治体が単独保有する高日射量で広大な土地を優先して選択。
②パートナーリング
愛知田原8万kWメガソーラーでは中部電力子会社の㈱シーテック、徳島小松島2万kWメガソーラーでは地権者でもある日本製紙㈱など、プロジェクトごとに電力事業の技術力を保有されるパートナーとの協業で開発に取り組んだ。
③ EPC
20年間の長期売電事業の基本となる設備については安全性と信頼性を第一優先とし、三菱電機、東芝、日立など日本を代表する発電機器メーカーを工事込みフルターンキーで起用。
④ファイナンス
わが社の海外発電案件と同様に、出資者に損失補償が遡及せずに返済原資を事業収益に依拠する金融手法であるプロジェクトファイナンスを採用。リードアレンジャーとして三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行を起用し、シンジケーションは両行に加えてプロジェクトごとに各地の有力地銀で組成。
⑤発電所の管理体制
わが社海外発電案件と同様に、長期の事業期間を念頭に置いて発電所建設時から技術者を雇用するなど独自の管理体制を構築。高い品質の発電所を建設し、安全運転に努め、長期にわたる売電収入を確実にさせるもの。
わが社では引き続きこれらの手法を用いて太陽光発電の開発を進めたいと考えていますが、全国的な適地の減少とともに事業機会が大幅に逓減している中で、風力や地熱など他の再生可能エネルギー電源の開発も積極的に取り組もうとしている状況です。

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