ドバイ〜大人のディズニーランド〜

双日株式会社 中東・アフリカ統括事務所長
佐藤 文彦

ドバイ空港、早朝


イラン・オフィスのスタッフと(右側が筆者)

3月7日はイラン出張、午前7時50分出発テヘラン行きのエミレーツ航空に乗るため午前6時30分、ドバイ空港に到着。ドバイ空港から、中東湾岸諸国だったり、アフリカだったり、各地へ向かうフライトが朝の時間に集中している。今回は、イラン正月前の客先回りと、スタッフとの年末ランチ会食。統括事務所にとって、各拠点のスタッフとのコミュニケーションも大事だ。

ドバイの他、筆者が駐在員事務所長を兼任している、モロッコのカサブランカ事務所と隣国オマーンのマスカット事務所にも定期的に出張している。カサブランカは片道9時間から10時間で、時差も4時間あるので、往復のかなりの時間、飛行機の中での仕事となる。

一方、マスカットは1時間くらいのフライトながら、あまりにも近過ぎて、ほとんどが日帰り出張。朝8時のフライトでドバイ出発、午後10時過ぎにマスカットからドバイに戻ると、ドバイ空港からオフィスのそばにある自宅までは車で10分程度、飛行機に預ける荷物もないので、自宅到着が午後11時ごろ。これはこれで体力的にはきつい出張である。空港から自宅・オフィスまでの距離は、昔、単身赴任していたシンガポールや博多より断然、近いのだが。

空港のランキングはいろいろあるが、ハブ空港の称号である国際線利用客数では、2014年にそれまで長年トップであったロンドンのヒースロー空港からドバイ空港が首位を奪取、以来3年連続1位である。世界一高いのっぽビルのブルジカリファ、世界一広いドバイモール、世界一大きい水族館など、なんでもかんでも世界一を目指している。ドバイ空港の利用客数は年間8,000万人。世界55ヵ国・150ヵ所の空港にフライトが飛んでいる、まさに世界一のハブ空港である。

ドバイ空港を拠点とするエミレーツ航空のすごいところは、便数の多さもさることながら、乗り継ぎも便利なこと。ロウハニ大統領が5月に再選を果たしたイランには、日本からも欧州からも出張者が多いわけだが、ドバイの駐在員は大体、朝7時50分のフライトで、9時40分テヘラン着、1泊して、翌日の午後8時05分テヘラン出発、午後10時50分ドバイ到着のフライトで往復することが多い。例えば、このフライトに東京からの出張者が乗り継ぐ場合は、成田空港を前日の午後10時出発、ドバイに午前4時ごろ到着、ドバイ空港でちょっと休憩、午前7時50分でテヘランへ。帰国も午後10時50分にテヘランからドバイに戻った後あとの午前2時40分の成田行きで戻ると、東京到着は、同日夕方5時30分。3泊4日のうち、2泊は機内泊となるが、時間に追われるビジネスマンは、今も昔も体力勝負である。


世界一の高層建造物ブルジカリファ・828m、家族と


ドバイ・マリーナ、筆者


大人のディズニーランド


ブルジ・アル・アラブの前で、筆者

ドバイは人口233万人、面積は埼玉県と同じくらいなので、人口550万人・淡路島くらいの広さのシンガポールよりは広い感じだが、ほとんどが砂漠なので、都市部の密集度は結構あるかもしれない。通勤時間の渋滞には悩まされることも多い。隣のサウジアラビアはようやく2030年を目指して脱石油政策に転換しようとしているが、ドバイはもうずいぶん前から石油収入に頼らない政策を進めている。不動産投資も活発で、2020年の万博に向けて、ビルの建設工事が至る所で進んでいる。シンガポールのなりわいに似ているが、ドバイは国全体がおもちゃのようで、2年前に赴任した時は、「大人のディズニーランド」というキャッチフレーズに感心したものである。

UAEは、全体で人口945万人、アブダビ、ドバイなど七つの首長国から構成される首長国連邦である。住民の半分は、インド、パキスタン、バングラデシュ出身者が占める。中国人、韓国人、日本人駐在員も含めると、世界一の出稼ぎ国家かもしれない。当社の中東・アフリカ統括事務所は、中東とアフリカの全拠点を管轄する統括業務が主業務。オフィスのスタッフも、インド人、フィリピン人、日本人が大部分。宗教も文化も価値観も異なるため、月1回のスタッフミーティングでは、各国の慣習や料理などを代わる代わる紹介してもらっている。


七つ星ホテル、ブルジ・アル・アラブの最上階から


ドバイ市内ビジネス街


統括事務所のスタッフと(真中が筆者)


ワールド・トレード・センターで展示会


さて、5月14日(日)は、ドバイ中心部にあるWorld Trade CentreでのExhibition、「World Beauty Show」に出店している日本のメーカーさんのお手伝い。今回は、金箔入りのコスメの売り込み。ハブと呼ばれるドバイでのさまざまな展示会は年間にすると120種類以上の開催数。例えば、毎年3月に開催される、中東アフリカ最大の「食」の展示会、「Dubai Gulfood」は、5,000人の展示者で来客数は4日間で9万5,000人。ドバイをゲートウェイとして様々な商品が中東、アフリカに紹介されていく。今回展示の金箔入りコスメはアラブのお金持ちにピッタリはまる商品で、早速、多数の引き合いが舞い込んでいる。ドバイ旧市街にある「ゴールドスーク」、ものすごい量の金装飾品が飾られているが、湾岸地域は、アラブ人もインド人も「金」好きである。


World Beauty Showで


ゴールドスーク


週末は「ドバイブルー」


サッカーの審判

時間はちょっと戻って、2月17日(金)。毎週末は、運の悪いことに、ドバイ日本人会のサッカーチーム「ドバイブルー」に、筆者がサッカーの審判ライセンスを持っていることが知られてしまって、サッカーの審判に駆り出されている。この日は、中東・インドの各地の日本人サッカーチーム、10チーム・150人がドバイに集合しての「ガルフ杯」。決勝戦は、インドのチームと接戦・PK戦の末、ドバイブルーが連続優勝。2016年の11月にはバンコクまで遠征して、アジア杯(20チーム)に初参加、見事ベスト4の成績をあげた。2017年は、7月のデュッセルドルフでの日本人の欧州大会に参戦する予定。


ドバイブルーのメンバーと。右から2番目が筆者

6月はラマダンにもかかわらず、ドバイの中国、韓国、イラン、アイルランド、ブラジルなどのチームと強化試合を組んでいて、平日も時々、午後8時からの試合の審判をしている。週末の趣味としては、ちょっとハード過ぎるが、東京でもドバイブルーのOBが手ぐすね引いて待ってくれている。


カサブランカの夕日


カサブランカの夕日

2月7日(火)は、午前7時35分のエミレーツ航空でカサブランカ出張。このフライトには、日本から約10時間かけてドバイ空港に朝の4時ごろ到着、数時間の待ち合わせで、モロッコのマラケシュ・ツアーに向かう日本人旅行客が大勢乗ってくる。筆者のカサブランカ出張は、いつも2泊3日で、首都ラバトはカサブランカから2時間くらいのドライブが必要なので、なかなかマラケシュ観光などに行ける暇はない。せいぜいが大西洋に沈む、カサブランカの夕日を拝むくらいである。でも、一番最初に駐在したギリシャ・エーゲ海のサントリーニ島で家族で見た夕日が世界で一番奇麗な夕日だと思っている。フライトで5時間のギリシャへ旅行することが、ドバイ駐在後半のイベントの一つである。(役職名は執筆当時)

ドバイ〜大人のディズニーランド〜 誌面のダウンロードはこちら