持続可能な社会の実現と商社 第1回「持続可能な社会」とは

はじめに

3月22日に「商社行動基準」が改定されました。そのまえがきには、商社活動の目的が「持続可能な社会の実現に貢献」することと記されており、最近頻繁に登場するSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)という言葉も、新たに追加されました。本連載では、「持続可能な社会」とそれに関連する用語等を分かりやすく解説するとともに、商社業界の取り組み事例を紹介していきます。

持続可能性が注目されるようになったのは約30年前

連載第1回のテーマはズバリ「持続可能な社会」とは何かです。「持続可能性(英語ではSustainability)」という言葉が社会に広く認知されるようになったのは、1987年に国連の「環境と開発に関する世界委員会」(当時ノルウェー首相のブルントラント氏が委員長を務めたため、通称「ブルントラント委員会」)が発表した報告書『Our Common Future』(邦訳:地球の未来を守るために)の中で中心的な考え方として取り上げられたのがきっかけです。

持続可能とは

そこではSustainableとは「meets the needs of the present without compromising the ability of future generations to meet their own needs」と定義されていますので、直訳すれば「将来世代のニーズに応える能力を損ねることなく、現在世代のニーズを満たす」ことという意味です。

だんだん難しくなってきましたが、「自然は無限であり、自然を無料で経済成長に活用できる」と信じられていた時代が終わり、「自然は有限である」との認識の下で、将来世代にしわ寄せをしない経済活動をしていくべきとの考え方が打ち出されたのです。

持続可能な社会は将来世代への責務

現在世代だけが豊かな生活を送れたとしても、その豊かさが将来世代の生活を脅かすようなことになれば、それは持続可能とは言えません。地球温暖化をはじめとする環境問題や資源の枯渇といった問題は、現在世代の問題である以上に、将来世代にはるかに大きな影響を及ぼす可能性があります。現代を生きる私たちは、将来世代に対して、この地球社会を損なうことなく引き継いでいく責務を負っています。そのような社会を持続可能な社会と呼んでいます。

企業の役割

持続可能な社会の実現に向けて、世界で急速に存在感を増している企業の果たすべき役割は重要です。企業が負の影響を与えないのみならず、その力を前向きに発揮すれば、持続可能な社会の実現に大きな貢献となり得ます。いま企業のCSR活動が注目される理由は、そこにあります。

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