特集「WTO改革」


近年は保護主義が台頭し、ルールに基づく多角的貿易体制の脅威となっている。自由貿易推進の要となるべきWTOは、紛争解決において所期の機能を発揮できていない上、デジタル貿易の拡大や政府補助金への対応など新たなルール作りの場としてもさらなる機能強化が期待されている。

WTOには機能の回復と強化が同時に求められており、2019年6月末に開催されたG20大阪サミットでもWTO改革を推進することで一致したところである。2020年6月には第12回WTO閣僚会合が開催される予定であり、それに向け改革議論の進捗(しんちょく)が期待されている。

本テーマは当会活動とも深く関係しており、その進捗を見守りながら継続的に今後とも取り上げていく予定だが、今回はその第1回としてWTOの現状と課題、改革の在り方と今後の可能性、わが国の取り組みなどについてスポットを当てた。本特集が関係者の参考となれば幸いである。

WTO加盟国・地域の現状



WTOとは

WTO(世界貿易機関:World Trade Organization)は、GATT(関税および貿易に関する一般協定:General Agreement on Tariffs andTrade)のウルグアイ・ラウンド交渉における合意により、1995年に設立された国際機関である。自由(関税の低減、数量制限の原則禁止)、無差別(最恵国待遇、内国民待遇)、多角的通商体制を基本原則とし、交渉機能、紛争解決機能、協定履行監視機能を有する。本部をジュネーブに置き、164の国・地域が加盟している。

多角的貿易体制発展の経緯



出典:外務省ホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol5/index.html)より作成

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