名古屋創業の歴史と現在

興和株式会社

興和の原点

興和の歴史は、1894年に名古屋市八百屋町(現在の中区栄2丁目)で誕生した綿布問屋 服部兼三郎商店を創業とし、今年(2016年)で122年目を迎えます。

服部兼三郎商店は、名古屋綿布業界で徐々に頭角を現し、国内はもとより海外市場を視野に入れた積極的な経営施策によって順調に業績を拡大していきます。

また、海外支店もない時代、日露戦争直後で治安も十分回復していなかった朝鮮、台湾、満州、上海などに、服部兼三郎の腹心であった三輪常次郎が、長期出張して綿布の販路拡張に努めたのが、海外市場に打って出る最初の契機となりました。

当時の逸話としてトヨタ自動車の原点となった織機王・豊田佐吉の動力織機の研究・開発を援助し、積極的に織機の技術革新に協力したことは、広く世間に知られた事実です。

そして1912年に株式会社服部商店に改組すると同時に大阪支店を置き、繊維商社として次の飛躍を果たすべく業容拡大に向けた準備を進めました。

1914年には名古屋市熱田東町(現在の熱田区桜田町)に織布工場として桜田工場を新設して織布業を開始、その後も矢継ぎ早に工場を新設して、自社で糸を紡ぎ、織って染色するという紡績事業での一貫体制を構築していきます。

一方、綿布の取り扱いでは、大正時代には海外市場の開拓にもさらに力を入れ、その製品は中国のみならず広くインド、中近東、アフリカ、オセアニアなどへも輸出されました。

ここに、商社機能とメーカー機能を併せ持つ、現在の複合企業興和株式会社の原型を見ることができます。

戦時下での商事部門の独立

1920年に服部兼三郎亡き後の経営を引き継いだ三輪常次郎は、商工両輪の企業としての服部商店を、さまざまな困難を乗り越えて昭和の時代へと導きます。

金融恐慌から始まった昭和でしたが、服部商店は紡績工場の生産性向上に向けた技術革新への取り組みを積極的に行う一方で、商事部門においても海外市場のニーズ・オファーに応え、機械、雑貨、食料品などの非繊維製品も取り扱うようになります。

そして太平洋戦争の暗雲立ち込める中、統制経済下で繊維原材料・製品の配給統制が一段と強化される状況の下で、1940年には紡績部門としての「興亜紡績株式会社」と、商事部門としての「株式会社服部商店」の商工分離体制へと進んでいきました。

さらに、太平洋戦争突入で、興亜紡績株式会社の各工場も、一部の縫製工場を除き売却・貸与により航空機部品生産工場へと転換されていきます。

興亜紡績株式会社の紡績事業の業容が縮小されていく中、1943年商事部門の株式会社服部商店を「興服産業株式会社」へと商号変更しました。

そして平和を興す

太平洋戦争が終結した直後の1945年10月、興亜紡績株式会社は平和を興すという祈りを込めて「興和紡績株式会社」に商号変更しました。

興和紡績株式会社の各工場は、その建物のほとんどが空襲により罹災・焼失しましたが、比較的被害の軽かった松坂・古知野の 2工場に残存設備を集約するとともに、新規設備も導入し、復興の第一歩を踏み出すこととなります。

一方、興服産業株式会社は、敗戦で海外の支店・出張所網を一挙に失いましたが、戦後日本の復興に寄与する企業の使命であった新規事業の立ち上げとして、終戦のわずか10日後の8月25日には、旧陸・海軍の「陸軍衛生材料廠しょう」、「豊川海軍工廠」それぞれから優秀な技術者を招聘し、平和産業にふさわしい医薬品分野・光学分野へ進出することを決定しました。

また、1947年からは、繊維の取り扱いと並行して、非繊維製品の輸出入にも本格的な取り組みが始まりました。

その後、興服産業株式会社は、1960年に「興和株式会社」に商号変更し、1954年設立の医薬品販売会社「興和新薬株式会社」や、2006年設立の医療用医薬品販売会社「興和創薬株式会社」などとともに、現在の興和グループの中核を担うこととなります。


興和の今


本社ビル

興和は、世の中の進歩や経済環境の変化を見据え、時代のニーズに合わせて各事業のバランスを取りながら事業展開を進めています。グローバルな事業展開にも、常に積極的にチャレンジを続けています。

綿布問屋から始まった興和の繊維事業は、近年ではブランド力をテーマにした繊維製品の展開や素材開発を進めるだけでなく、生活関連製品全般を取り扱う事業へと進化しています。

健康関連事業では国内はもとより世界市場での医療用医薬品の展開や、国内外拠点での新薬研究・開発に注力しています。さらに、OTC医薬品、ヘルスケア製品、眼科用医療機器、 IOL(眼内レンズ)事業のグローバル展開など、世界中の人々の健康に寄与できる事業を進めています。

産業関連事業ではインドでの港湾インフラ整備やチリでの資源開発などへの投資ビジネスを推進するとともに、機械類や産業資材、化学品なども取り扱う三国間貿易などのトレーディングビジネスの拡充にも努めています。

環境関連事業では興和独自の面発光技術を使った LED照明などの製造・販売事業や、再生可能エネルギー事業など、地球環境にも配慮した事業を積極的に進めています。またLED照明による植物工場事業では、安全・安心で高品質な野菜作りができる設備開発を進め、世界に向けたブランド野菜供給を中心としたビジネスに取り組んでいます。

ホスピタリティ事業では、株式会社名古屋観光ホテルや、株式会社ナゴヤキャッスルを子会社化してホテル事業を推進する一方、名古屋の老舗百貨店丸栄を子会社化するなど、生活者に密着したビジネスにも活動を広げています。

興和は地元名古屋の活性化に貢献していくとともに、これからの成長分野を見据え、人々が求める健やかで豊かな暮らしや、地球環境に配慮した事業を世界に向けて発信しております。

名古屋創業の歴史と現在 誌面のダウンロードはこちら