日本貿易会副会長による「新年の抱負」

日本貿易会副会長が各社で語った「新年の抱負」について、その要旨・ポイントをご紹介します。

未来に向かって変化を予測し、一歩「前進」へ


一般社団法人日本貿易会 副会長 豊田通商株式会社 社長
加留部 淳

2017年の世界経済は、米国では、次期大統領の政権移行に伴う影響が注目される。欧州では、英国のEU離脱、難民問題など山積みとなった課題への迅速な対応ができるよう準備が必要だ。また当社の最重点地域であるアフリカでは、資源国は景気が減速する一方、非資源国は堅調であり、個々の国別のリスクに注意しながら前向きに取り組んでいく。一方、日本経済は、米国を中心とした他国の政治・経済動向によって大きく変化する可能性がある。

現在、われわれを取り巻く環境は「先端技術や先端サービス」により大きな変化が進んでいる。2017年は、商社として世界各地で長年積み重ねてきたノウハウを基に機会を見いだし、新たな付加価値を生み、提供していく年になると考えている。次の成長に向け、常に前向きな姿勢で未来へ向けて果敢に一歩「前進」していく一年にしたいと思う。


「即実行」の年、「半分2倍」で新たな価値創造


一般社団法人日本貿易会 副会長 住友商事株式会社 社長
中村 邦晴

当社では、2017年の経済見通しを「 “政主経従” リセットされる世界秩序」と表している。先進国、新興国共に安定した経済環境が継続するとの見方がある一方、トランプ新政権発足やBrexitの動きについては、今年にかけて実態面での影響と効果が徐々に顕在化してくると思われる。他にも全世界で多くの政治イベントが控えており、先行きを注視していく必要がある。

さまざまな変化が想定されるからこそ、変化を先取りし、新たな価値を創造していくチャンスである。新たな価値創造の成果を倍にすること、そのために減らせるものは思い切って半分にするため、当社は「半分2倍」を合言葉とした。2017年は、これまで立案した戦略、計画を「即実行」していく年にしたいと思う。


intangibleなassetをtangibleなassetに


一般社団法人日本貿易会 副会長 双日株式会社 社長
佐藤 洋二

世界的に保護主義が広がる可能性が出ている中、商社として、従来の既成概念にとらわれず、世界の動きを注視していくことが重要だ。

双日発足以来、「人材の育成」を経営課題の一つに掲げてきた。「商社は人なり」といわれるが、個々の潜在能力や蓄積された経験・豊かな発想といったintangibleなassetを、環境の変化に応じてtangibleなassetに作り上げる力こそ、「商社は人なり」の所以である。

2017年度は中期経営計画の最終年度。時間軸やスピードを大切にして、全員で収益向上に向けた資産構築を進め、結果につなげていきたい。

計画達成の先にある双日グループの会社像として、稼ぐ力の向上のみならず、働きがいという観点から、将来あるべき双日グループへの道筋をつける2017年にしたい。


「知の勝負」の時代


一般社団法人日本貿易会 副会長 丸紅株式会社 社長
國分 文也

グローバリズムの潮流変化の中、グローバル経済全体の流れを大局的につかみ、国や地域ごとの精緻な戦略を立てる、つまり、グローバルの中のローカル、が求められている。金融情勢の変化の中、健全な財務基盤はビジネス継続の大前提だ。また、情報技術の飛躍的な進歩は、別次元のビジネスモデル創造の機会を生み出している。

変化の今こそ、「知の勝負」の時代だ。丸紅グループが持つ、質の高い人材、多様なビジネスモデル、顧客ネットワーク等の優良資産を活かし、新たなビジネスを創出しながら進化し続けられるかは、知恵と努力次第だ。現場力を駆使して、走り回りながら本質を見極め、考え抜き、やり抜く強さを持つことが重要だ。


「強い三井物産」の復活


一般社団法人日本貿易会 副会長 三井物産株式会社 社長
安永 竜夫

現状に埋没し、これまでの成功モデルに安住していては、変化が常態化した厳しい環境の中で生き残ることはできない。

「人の三井」と「強い三井物産」の復活。私は不退転の覚悟で、これを実現させたい。 中経策定の機を捉え、皆さん一人一人が「強い個の集団」「強い三井物産」の復活に向けて何をすべきか考え抜いてほしい。

「現場重視」をさらに徹底するべく、将来の成長分野やその布石となる分野を洗い出し、経営資源を重点配分する。挑戦することと結果を出すことに徹底的にこだわりたい。

いま一度「現場」に軸足を置き、連結三井物産 4万4,000人が一丸となって、「強い三井物産」の復活を実現していく。


経営人材が育つ事業経営の推進


一般社団法人日本貿易会 副会長 三菱商事株式会社 社長
垣内 威彦

昨年策定した「中期経営戦略2018」では「事業投資から事業経営へのシフト」とし、経営人材の育成を目指すことを掲げた。また、長期的な視点で将来の中核となる事業を選定した。経営に必要な能力は、事業の構想力と実行力。特に実行力においては、チームプレーの精神・高い倫理観・強い心、そして何よりも優しさが求められる。社員の成長と会社の発展が一体となった仕組みを構築していきたい。

連結先からの収益が大部分となっている現状に鑑み、今後の連結経営の在り方を検証していく。