兼松が取り組むインド・ビジネス

兼松インド会社
社長
鬼武 正人

当社は長年にわたりインド・ビジネスを展開しておりますが、一時閉鎖していたニューデリー駐在員事務所を2008年に再開し、2012年5月1日に兼松インド会社として現地法人へ改組の上、新しい出発を致しました。
既に会社設立後6ヵ月が過ぎたところですが、各種手続きも完了し、インドにおけるさまざまな商機を捉えるべく、日々インド国内を駆け回っています。
現地法人立ち上げは、インドの特殊事情もあり、いろいろ苦労もしました。また、当社スタッフの駐在員事務所から現地法人への移行に伴い、当然、ナショナルスタッフの意識改革も必要で、現場に入っての教育にも力を入れてきたつもりですが、決して簡単ではなかったというのが実感です。
ただし、いろいろと大変ではありましたが、本社からの強力な支援と、インド国内の日系進出企業の駐在員の皆さまのサポートと励ましを頂き、また、社外のインド人の友人も数多くでき、彼らからもバックアップを受けることができましたので、今日この日を何とか迎えられているのではないかと、感謝の気持ちでいっぱいです。そうした支援に応えるためにも、これからの現地法人の運営に一層の決意を持って臨むべく、日々の業務に取り組んでいます。
さて、実際に現地で活動する中で、多くのビジネスチャンスに巡り合うことができ、あらためてインド・ビジネスの大いなる可能性を実感しています。


拡大する二輪・四輪市場

現在、当社のインド・ビジネスは、二輪・四輪関連ビジネス、鉄鋼関連、食品・食糧関連、および石油化学関連などを中心に展開していますが、中でも二輪・四輪関連ビジネスに注力しています。
インドの二輪・四輪産業は主に、北部のデリー首都圏、西部のクジャラート州、同じく西部のムンバイ・プネがあるマハラシュトラ州、南部のチェンナイ・バンガロール周辺の4つの地域が中心となっています。北部のデリー首都圏は従来から二輪・四輪産業が発展していて、部品調達などもしやすいメリットがあります。西部のクジャラート州やマハラシュトラ州は比較的電力供給事情も良く、陸路・海路の交通が便利であります。南部のチェンナイ・バンガロール周辺は良質な労働力が確保しやすく、アセアン各国との距離も近いことから最近は進出企業が増加傾向にあります。
また、昨今、インドにおける二輪・四輪の国内市場は大きく変化しつつありますが、これは二輪・四輪を購入できる中間所得層が急増し、膨大な人口を擁するインドが魅力的なマーケットに成熟していく過程にあるとの見方をしています。また、生産される種類も現在は小型が中心ではありますが、購買力の増加に伴い、より排気量の大きいものも注目されてきています。逆に大型化だけではなく、二輪の世界では、女性の社会進出に伴い、女性でも足をそろえて乗りやすいスクーターを街で見掛ける機会も増えてきています。
インドにおいては、ほぼ全土にわたる広範囲で二輪・四輪が生産されていますが、一方で、部品関連産業はまだ発展途上にあり、参入の余地は十分にあるため、商社の役割も相当期待されていると実感しています。
この魅力的なマーケットを狙い、二輪・四輪メーカーは日系のみならず、欧米系、韓国系、現地メーカーなどが組立工場などを新設・増設していますが、各社ともより高品質な部品を調達することが現時点での重点課題となっていると捉えています。
次に、当社の二輪・四輪関連ビジネスの主なものについてご紹介させていただきます。
当社では、①部品販売支援、②部品調達支援、③インド進出企業支援、④設計インフラ支援等のプログラムを用意し、あらゆるお客さまのニーズにお応えできるサービスをご提案させていただいています。

①部品販売支援では、日本国内外の製品をインド国内で販売しており、マーケティング活動はもちろんのこと、税務管理、物流サポートにも重点を置き、インド特有のサポートもご提供させていただいています。

②部品調達支援では、インド国内で製造された製品を日本国内外のお客さまの工場に納品しており、特に納期管理および品質管理サポートに重点を置いた調達サポートをご提案させていただいています。

③インド進出支援では、インド国内の製造拠点設立のサポートをご提案させていただいています。提携先企業のご紹介から、技術移転に伴うデジタル化支援、生産効率および品質改善支援、そして製品の販売支援まで、幅広いサービスをご提案させていただいています。

④設計インフラ支援では、お客さまのインドでの設計作業のご支援を目指し、日本人技術者によるITサポートをご提案させていただいています。

これらは、あくまでも当社のインド・ビジネスの一例にすぎません。二輪・四輪関連ビジネス以外にも、兼松として展開している鉄鋼関連、食品・食糧関連、機械・プラント関連、化学品・エネルギー関連、IT関連、電子・デバイス関連といったビジネスにおいても、それぞれ特徴のあるプログラムをご提供できる体制を整えています。そして、商習慣や環境が日本と大きく異なるインドというマーケットにおいて、特に、日本企業の皆さまのお役に立てるビジネスを展開していきたいと考えています。

兼松が取り組むインド・ビジネス 誌面のダウンロードはこちら