日本経済再生への貢献

一般社団法人日本貿易会 副会長 双日株式会社 社長
佐藤 洋二

2013年は、前年末に発足した第2次安倍政権が推進する政策「アベノミクス」が流行語にもなり、富士山の世界遺産登録、2020年東京オリンピック招致決定などを通じて、日本人自身がわが国の強みと将来性にあらためて気付かされた年でした。

フィナンシャル・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルなどに代表される外国メディアにも「Japan」「Abe」「Abenomics」の文字が躍り、日本が取り上げられることが以前より確実に増えていると感じます。

今後、新興国の代表格である中国では金融システムや構造問題の調整に重心を置いた政策がとられ、高成長というよりは安定成長路線に入る見通しです。中国経済減速の余波を受けやすいASEAN、財政と国際収支の双子の赤字にインフレと苦しい状況が続くインドなど、近年成長を謳歌していた新興国経済もいったんピークアウトしつつあります。

他方、財政問題の足かせがあるもののシェールガス革命の恩恵を受ける米国、金融リスクが下押し要因になりながらも病床から抜け出しつつある欧州、そしてアベノミクスの日本も含めた先進国経済が再び注目を集めることになりましょう。

2014年は「絶対的エース」に欠け複雑さを増すグローバル経済の中で、われわれ商社業界の活躍の場がますます広がる局面になるだろうと考えています。

わが国にはTPP、規制改革と2013年につけた端緒をしっかりと実現していくことが求められています。安倍政権が未来に向けて政策面での土台づくりを行う中で、実際に成長を具現化するのは企業です。拡大する世界のマーケットを取り込んで活路を見いだしていく必要がある日本にとって、商社が果たすべき役割は重大です。謙虚さを忘れてはなりませんが、持ち前のチャレンジ精神で、わが国はもちろん、新興国のさらなる発展に寄与し、経済をけん引する気概を持ちたいものです。

ビジネスモデルの工夫とイノベーション、貿易・投資を通じた経済の活性化と社会貢献は商社の企業目的の原点ともいえるものです。われわれの持ち得る機能を最大限に発揮し、新たな価値の創生に取り組んで日本経済再生へ、そして、世界のより良い発展へと貢献してまいりたく存じます。

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