コラム インド太平洋における商社ビジネス

商社はインド太平洋地域でさまざまなビジネスを展開しています。当会の会員企業の取り組みをご紹介します。(社名五十音順)

岩谷産業株式会社


ミネラルサンド事業の自社鉱区

豪州における鉱物資源ビジネス・水素調達プロジェクトの取り組み

豪州における当社事業は、鉱物資源の採掘および無機原料の製造を行うDoral社を運営するなど、主に西豪州で展開してきた。Doral社は2021年5月に社名を岩谷オーストラリア会社へ変更し、鉱物資源だけでなく、もう一つの大きな柱として水素調達プロジェクトを手掛ける、重要な拠点となっている。水素調達については、クイーンズランド州の電力公社Stanwell社や鉄鉱石生産メーカー大手のFortescue Metals Group社などと協業し、大規模なグリーン液化水素サプライチェーンの構築に取り組んでいる。2021年7月には、クイーンズランド州ブリスベンに岩谷オーストラリア会社の事務所を新たに開設するとともに、現在の日本国内の液化水素製造量の26倍となる800t/日以上の生産の実現に向け、各種調査や関連企業・州政府との関係強化を進めている。


興和株式会社


アダニパワームンドラ石炭火力発電所

インドにおける石炭だき火力発電所でのアンモニア混焼実証

当社は、インドのグジャラート州ムンドラにあるアダニパワームンドラ石炭火力発電所において、株式会社IHIと一緒にアンモニアの混焼実証研究に取り組んでいる。NEDOの2022年度「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業(実証要件適合性等調査)」で採択を受け、まずは20%の混焼実証に向けた調査を行う。将来的にインドで生産されるグリーンアンモニアを活用し、インド政府が目指す温室効果ガスの削減に向け、燃料アンモニア混焼の普及を目指す。当社のビジネスパートナーであるアダニグループは、再生可能エネルギーによるグリーン水素、アンモニアのサプライチェーン構築を目指しており、当社も積極的に関わりSDGsの目標達成に貢献していきたい。

https://www.kowa.co.jp/news/2022/press220322.pdf


住友商事株式会社


バングラデシュ経済特区
現在の状況

バングラデシュ経済特区開発

当社は、アジア各国で八つの工業団地を開発・運営しており、バングラデシュでは最新の工業団地である経済特区を販売中。日系企業が開発を進める第1号の経済特区となる。周辺のインフラ整備では、日本政府の円借款供与を活用、事業パートナーにはバングラデシュ政府(経済特区庁)を迎えた。製造業の一大プラットフォームを目指して官民合同で整備を開始し、2021年11月の第1期区画着工を経て、2022年末の操業開始を予定している。人口約1億7,000万人のバングラデシュは高い経済成長を続けており、今後も大きな発展が見込まれる。当社は総合商社としての機能を最大限に活かし、本工業団地の開発などを通じて、バングラデシュの経済発展と人々の豊かさの実現に貢献していく。

バングラデシュ ダッカ近郊における工業団地の販売開始について
https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2022/group/15570


豊田通商株式会社


パティンバン新国際港
自動車ターミナル

インドネシア・パティンバン新国際港の自動車ターミナル運営事業

当社は、インドネシア共和国西ジャワ州スバン県パティンバン新国際港において、新設した運営会社のPT. Patimban International Car Terminal社を通じ、2021年12月17日より自動車ターミナルの運営事業を開始した。

同港の開発は、インドネシアの国家戦略事業として位置付けられ、日本政府からも第1期・第2期総額で約1,891億円の円借款が供与された。

ジャカルタ近郊の首都港・タンジュンプリオク港への貨物一極集中を分散させることで、首都圏における交通渋滞の緩和と物流機能の改善を図り、パティンバン港において競争力のある荷役サービスを提供することで、同国自動車産業の輸出競争力の強化に貢献していく。

https://www.toyota-tsusho.com/press/detail/211223_005824.html


丸紅株式会社


当該案件現場に係留されるFSRU

インドネシア初のGas-to-Power事業に参画

当社は、インドネシア・ジャワ島にて、1,760MWの新設ガスだき火力発電所・浮体式LNG受入設備(以下、FSRU)の建設・運営事業に双日株式会社とともに参画している。同国の国有電力会社PT. PLN(Persero)社(以下、PLN社)が調達したLNGをFSRUで貯蔵・再ガス化、発電所でつくられた電力をPLN社に25年間販売する同国初の本格的なGas-to-Power案件である。発電所の建設やガスパイプラインの敷設、FSRUの建造ではGEやSamsung C&T、ローカル企業など海外企業と協業。官民協調融資と株式会社日本貿易保険の保険を活用した、日本政府のエネルギーインフラ海外展開スキームに沿った案件でもある。当社はインドネシアで電力の安定供給と経済発展に貢献するとともに、今後アジアを中心に低炭素社会への移行に向けた社会のニーズに応えるGas-to-Power事業を推進していく。


三井物産株式会社


ReNew社保有 Karnataka州
SECI VI_Wind power project 116MW


ReNew社保有 Rajasthan州
SECI Ⅲ Solar power project 300MW


インド大型再生可能エネルギー事業への出資参画


当社は、インドの再生可能エネルギー事業者最大手ReNew社が推進する大型再生可能エネルギー事業開発に参画する。本事業はインド国内に風力発電所(総出力90万kW)および太陽光発電所(総出力40万kW、最大10万kWh蓄電システム併設予定)を新設し、インド太陽エネルギー公社との長期売電契約に基づき40万kWの電力を安定供給するものである。風況あるいは日照量により発電量が変動し安定的な電力供給が難しいのが従来システムの課題であったが、本事業は蓄電技術含め複数の再生可能エネルギー発電所から24時間安定的に電力供給するインド初のラウンド・ザ・クロック・スキーム型で、総事業費約13.5億米ドル(約1,650億円)、2023年8月に商業運転開始予定である。2070年カーボンニュートラルや2030年非化石燃料による500GW発電を目指すインド政府の方針の下、現在はインドの総発電設備容量の過半を占める石炭火力発電所を将来的に再生可能エネルギー発電所に置き換える役割を果たすことが期待されている。


https://www.mitsui.com/jp/ja/release/2022/1243208_13389.html

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