日本貿易会副会長による 「新年の抱負」

丸紅株式会社 社長國分 文也
三井物産株式会社 社長安永 竜夫
三菱商事株式会社 社長垣内 威彦
双日株式会社 社長藤本 昌義
伊藤忠商事株式会社 社長鈴木 善久
豊田通商株式会社 社長貸谷 伊知郎

タテの進化とヨコの拡張で枠組みを超える


國分 文也
一般社団法人日本貿易会 副会長
丸紅株式会社 社長

国際社会の秩序の変化、産業構造の変化やそれを支える技術の飛躍的進歩、ESGに対する姿勢など、経営環境が大きく変化している。これらの非連続の大きな変化を機会と捉えて成長しなければならない。

2018年に策定した丸紅グループの新しい在り姿「グローバル クロスバリュー プラットフォーム」は、事業間、社内外、国境、あらゆる壁を突き破り、新たな価値を創出する、丸紅グループが目指す姿。

持続的成長を支える既存事業領域のさらなる強化(タテの進化)と、長期的な爆発的成長を実現し得る新たなビジネスモデルの創出(ヨコの拡張)。この二つのハイブリッドで「既存の枠組み、商社の枠組みを超える商社」に挑戦していく。

事業創出を通じて成長を加速させる


安永 竜夫
一般社団法人日本貿易会 副会長
三井物産株式会社 社長

世界情勢が大きく動く中、さまざまな要素が絡み合い常に環境変化が起きているが、これをビジネスチャンスとして取り組む。

成長を加速させるには、多様な「個」がビジネスの種を見つけ、主体的に「つくり」、しっかりと育てていくことが重要。連結社員が持つ想像力をビジネスに仕立てていくための専門組織Moonを立ち上げ、世の中にインパクトを与えるようなビジネスの創出も後押しする。

またDigital Transformationを活用した事業創出や働き方改革も加速させ、2020年に移転を予定する新本社では、社員が毎日ワクワクした気持ちで働けるよう環境変革を進める。

2019年は中期経営計画最終年となり、中核分野はもちろんのこと成長領域でも、結果にこだわり、しっかりと実績を積み上げていく。

「循環型の成長モデル」の実現を目指す


垣内 威彦
一般社団法人日本貿易会 副会長
三菱商事株式会社 社長

米中先端技術開発競争の長期化、保護主義台頭、BREXIT等、社会・経済情勢がますます複雑化している。加えて、デジタリゼーションが経済をけん引する「第4次産業革命」の中、未来社会に適応するビジネスモデルをいかに構築するか、企業として非常に重要な局面と考えている。

三菱商事では、「成長の芽」を発掘し、「成長の柱」に育て、「収益の柱」へと成長させ、適切なタイミングで入れ替えを行う循環型の成長モデルを実現させる。そのために、全産業を俯瞰(ふかん)した総合力・新たな事業を産み出す構想力・それらを実行する人材を惜しみなく動員し、引き続き、経済価値・社会価値・環境価値の三価値同時実現を目指していきたい。

双日グループの新時代を築く


藤本 昌義
一般社団法人日本貿易会 副会長
双日株式会社 社長

2019年も引き続き、「現場力の強化」「スピードの追求」「イノベーション」の三つを念頭に置く。

昨年(2018年)来の当社の企業広告のコンセプトは「発想を実現する」としている。柔軟な発想と、それをビジネスとして実現する、気概を持ってやり抜くことで、当社もイノベーションを起こしていく。

2019年は「己亥」、「果実が種子となり、エネルギーを蓄えて次の世代へと向かう準備をする」との意味があるが、当社にとっても勝負の年とし、中期経営計画2020の着実な遂行と、ポスト中期経営計画を見据え、優良な資産をしっかりと仕込んでいく。

新しい時代を切り開く歴史に残る一年へ


鈴木 善久
一般社団法人日本貿易会 副会長
伊藤忠商事株式会社 社長

米国を震源とする世界同時株安の様相で幕を開けた2019年の世界経済は、先行きが見通せない米中貿易摩擦、英国のEU離脱問題、サウジアラビアやイランを巡る中東問題等の地政学的リスクの高まりとともに、不透明感が急速に増している。一方で、デジタル革命による産業構造の大転換は待ったなしで進行しており、2019年はこれまでと違うという覚悟で臨む。

伊藤忠グループは、長い歴史の中で冬の時代や商社不要論の時代を乗り越えてきた。われわれの強みである過去から積み上げてきた商流、物流、人材とお客さまとの信頼関係を大切にし、当社の経営スタイルである足元を固めた「稼ぐ! 削る! 防ぐ!」、いわゆる「か・け・ふ」経営の実践と中期経営計画のテーマである「次世代化」へ向けた大きな流れを創ることで、新しい時代を切り開く歴史に残る一年としたい。

「豊田通商らしい仕事」で変化に対応


貸谷 伊知郎
一般社団法人日本貿易会 副会長
豊田通商株式会社 社長

産業界では「第4次産業革命」といわれるように、AIやIoTといった新しいテクノロジーを核とした非連続的な変化が進展している。特にわれわれの主要事業領域の一つである自動車業界では100年に一度の大きな構造転換期を迎え、業種を超えたアライアンスも誕生している。

こうしたビジネス環境の変化に対応できなければ生き残りすら難しいという、強い危機感を持ち、当社は2019年を「デジタル変革元年」と位置付けた。

先行き不透明な時代だからこそ、現場に絶えず足を運び、現場に寄り添い、お客さまやパートナーの皆さまから縁の下の力持ち、と認めていただけるよう、「豊田通商らしい仕事」をさらに進化・深化させていきたい。

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